9/15(金) 6:05配信

日馬富士、休場ピンチも横審出場厳命…3日連続金星配給も史上初の4横綱不在阻止へ

◆大相撲秋場所5日目 ○阿武咲(はたき込み)日馬富士●(14日・両国国技館)

 横綱・日馬富士が無敗の東前頭3枚目・阿武咲に敗れて3日連続38個目の金星を配給。休場のピンチにも、本場所総見した横綱審議委員会の北村正任委員長(76)は、史上初の4横綱休場という不名誉記録阻止のため出場継続を希望した。カド番の大関・照ノ富士は古傷の左膝を痛めて病院に直行。大関陥落の窮地に追い込まれた。全勝は阿武咲だけで、5日目を終えて平幕の単独トップは16年名古屋場所の逸ノ城以来。

 日馬富士の負の連鎖が止まらない。一度は阿武咲を土俵際まで押し込んだが足が出ず、右に回り込まれると最後は前のめりになって頭から1回転。初顔の相手に不覚を取って3連敗を喫した。座布団が乱舞した花道では顔をゆがめた。

 支度部屋で風呂から上がると「ハー」と大きく息を吐いた。「足がついていかなかったね。なんだろうね。体が動いているのにいい結果につながらない。残念」。抱えた故障には言及しないが、無意識に炎症した左肘を伸ばした。白鵬、稀勢の里、鶴竜が休場し、昭和以降初めて4横綱中3人が離脱。最後の砦としての重圧にも「ないですよ。一番に対する気持ちは一緒ですから」と平常心を強調した。

 3日続けて金星を配給した横綱は、優勝制度ができた1909年以降では10人(13例)。現在と同じ年6場所制となった1958年以降では5人いるが、うち4人が途中休場に追い込まれている。置かれた状況は苦しい。それでも休むことは周囲が許さない。

 正面枡席で観戦した横審の北村委員長は「(横綱が)全部休んでは目も当てられない。奮い起こして頑張ってほしい」と、前例のない4横綱同時休場という不名誉の阻止を厳命。さらに「一人横綱でなければ『今場所は休んでいい』となりかねないが。多分、もっと頑張ると思う」と、今場所に限っては綱の権威を守るために気力を振り絞れと切望した。

 取組後に報告を受けた師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は「休場するとかの話は一切してない。相撲内容の話」と断言。横綱も部屋の前で待ち構えた報道陣に「みんな(休場と)期待して来ているんでしょ? でも、しぶとく取りますよ」と出場を明言した。残り10日間を戦い抜き、一人横綱としての責任を全うする。(網野 大一郎)

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