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「なめとんか?」
 広島の黒田博樹(40)の口元は、そう言っているように見えた

顔あたりを襲う。黒田は、背中を向けて、転びながら、なんとか避けたが、
続く3球目もぶつかりそうなほど厳しくインサイドへ。体を一回転させて、
かわした黒田は、勢い余って、またお尻から転倒。血相を変えて起き上がると
「おら!」と言葉を発しながらバットを持ったままマウンドへ歩みよった。

 藤浪は帽子をとって謝罪の意を示した。

「藤浪君のバントをさせたくない気持ちはよくわかるが、2球続けてきたから。
年齢は関係ない。自分の体は自分で守らねばならない。あそこで僕がヘラヘラ
しているようでは、チームにも影響を与えてしまう」
 試合後、黒田は、自らの行動をそう説明した。

日本でも基本的には、よほど勝敗に直結しない打席以外では、ピッチャーに
対しては厳しく内角は攻めない。お互い本業であるピッチングに影響を与える
ような攻めはしないという不文律は存在している。

藤浪の内角への厳しい投球は、3球連続で続いた。黒田が怒るのも当然だった。

黒田の行為を「大人げない」と批判するのは、阪神DCで評論家の掛布雅之氏だ。
「藤浪の内角球は、故意ではなく、コントロールできなかっただけ。相手は、
藤浪なのだ。黒田は、メジャーで、そういう感覚が染み付いているのかもしれな
いが、それをあの場面に引っ張り出してくるのはいかがなものなのか。自らも
調子が悪く、そのイライラも募っていたのではないか。大人気ない行動だったと
思う。あの騒動の後に、藤浪のピッチングにも明らかに動揺が見えた。」

試合後、黒田は、「お互いが勝ちたいと思うあまりに起きたこと。もうグラウンド
上で起きたことを引きずることはない」と語った。