小学校からずっとトップでやってきているから、ハングリーさもあまり感じない。仮に『打つだけ』などと揶揄されたときに、本人が耐えていけるかどうか。
ましてや、今はネットで悪口を書かれて、それをマスコミが書き立てる時代だからね」(愛甲氏)

●プロ入りなら広島カープがベスト?

かつて、読売ジャイアンツ(巨人)に大森剛という強打者がいた。
慶應義塾大学時代に東京六大学の三冠王に輝いたほどの打者だったが、素質が打撃に特化していたため2軍暮らしが長引き、才能のわりにチャンスを拾えなかった。
守備に難のある清宮には、こうした前例の二の舞いになる可能性もあるという。

逆に、愛甲氏はプロ入り後に投手から打者に転向するが、肩が強かったため早い時期に外野の控えとしてベンチに入ることができた。
そこで得たチャンスを生かして外野のレギュラーとなった後、ファーストで押しも押されもせぬスター選手となったが、
「打者転向後、打撃以上に守備練習をやらされた」(同)からこそ、“チームの顔”になることができたのだ。

「俺は打撃よりも守れたからこそ、2軍に落とされずに済んだ。そう考えると、清宮はすごく難しい選手だね」(同)

プロの世界では「外野も守れるし、代走としても使える」などの“プラスアルファ”が必要となるが、今の清宮にはそれがない。
プロのスカウトらから、この点を指摘する声がないのは「スカウトの仕事は目玉選手の獲得であり、下手なことを言って選手や関係者ににらまれても困るから、表向きの評価しかしない。
俺がスカウトでも余計なことは言わない」(同)からである。

「どのチームも、経営陣はほしがるだろうけど現場は困るよ。『守りがダメで使えない』となりかねないからね。
ましてや、今の野球は打って守って走れる選手が脚光を浴びる時代。清宮は打撃こそAランクだけど、守備・走塁はCランクだね。

仮にプロ入りを表明しても、清宮を指名する球団は思いのほか少ないと思う。もちろん、打撃はプロで通用する。
バットのハンドリングやボールをバットに乗せる技術は一流だよ。だけど、少なくともまだ清原(和博)や松井(秀喜)と同じレベルにはない。