アジアの黄色人種では15年(ダイヤモンドリーグ)に中国の蘇炳添(28)が9秒99を出し、同年世界陸上(北京)の100メートルでアジア勢初のファイナリストとなった。蘇は先月の世界陸上でも100メートルで2大会連続のファイナリストになっている。

 桐生の9秒台は世界で実に126人目。バカ騒ぎしている時代ではないのだ。

■桐生の今後の課題は?

 アスリートの体に詳しいフィジカルトレーナーの平山昌弘氏が言う。

「いつもは力んで走る桐生選手が、今回は硬さが見られず久しぶりにスピードに乗った走りでした。以前ゲンダイの紙上で、『日本人はアフリカ系選手に比べて、足を引っ張り上げる時に使う腸腰筋が少ないので、100メートルなどの瞬発系競技には向かない。ただ、大陸系の中国人は、筋トレで鍛えられるアウターマッスルではなく、インナーマッスルや股関節の使い方がうまい』と述べました。先天的な筋肉の違いはいかんともし難い。例えば、日本のバスケット選手があと20年努力しても、五輪バスケットの米国ドリームチームには勝てません。桐生選手が東京五輪でメダルを取ることは厳しいというか無理でしょう。夢を壊すようですが、それは仕方がないことです」