政府が電波の周波数帯の利用権を競争入札にかける「電波オークション」の導入を検討していることが11日、分かった。

特定のテレビ局や通信事業者などに割り当てられた「電波利権」に切り込むことで、電波利用料金の収入増や割り当て選考の透明性確保を図る。
政府の規制改革推進会議も同日、公共用電波の民間開放の拡大を議論していくことを決めた。

電波オークションは電波の周波数の一定期間の利用権を競争入札で決める方式で、
経済協力開発機構(OECD)加盟国の米国や英国、フランス、ドイツなど先進国で実施されている。

日本では原則、総務省が審査して選ぶ比較審査方式が採用されているが、旧民主党政権時代もオークション導入は検討されている。
平成24年3月には導入を閣議決定し、関連法案を国会に提出したが、当時野党だった自民党の反対などで審議されずに廃案となった。

総務省によると、27年度の電波利用料金の収入は総額約747億円。

主な通信事業者やテレビ局の電波利用負担額は、NTTドコモ約201億円▽KDDI約131億円▽ソフトバンク約165億円
▽NHK約21億円▽日本テレビ約5億円▽TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京約4億円?などとなっている。

同制度を導入している米国では、2014年11月から翌15年1月までに実施されたオークションで、
3つの周波数帯が計約5兆円で落札されたという。

日本でも制度の導入で競売によって収入額の増加が予想されている。関係者によると、
民主党政権時代の議論では、毎年平均で数千億円の収入になると推計し、増えた収入は政府の財源とすることを想定していた。

各事業者の負担額の適正性にも議論があり、経済評論家の上念司氏は「電波は国民の共有財産だ。
携帯電話事業者に比べ、放送局の電波使用量は低い額に設定されている」と指摘する。

01:19 産経新聞
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