その言葉を安易に使うことの虚しさも危うさも、十分にわかっているつもりではある。 いや、わかりすぎていたがゆえに最近では、使おうという思い自体が浮かばなくなってきていた。 それでも、彼のプレーを初めて見たとき真っ先に浮かんできたのはあの言葉だった。
中田英寿に対しても、 小野伸二に対しても、 中村俊輔に対しても浮かんでこなかったあの言葉だった。

ジニアス−−天才。

世界で「プレーする」日本人選手ではなく、 世界のスーパースターとなる日本人選手が誕生したのではないか、と。 メッシにも、ボジャンにも負けない至高の才能が現れたのではないか、と。
柿谷曜一朗。
いま、わたしを最も興奮させる男の名前である。