◆洋楽ヘヴィメタル・バンドにもテーマ曲があった

 実はこのバンドのテーマ曲というフォーマットは、洋楽ヘヴィメタルのバンドにも当てはまる。
IRON MAIDENの「IRONMAIDEN」、PRAYING MANTISの「PRAYING MANTIS」、ANGEL WITCHの「ANGEL WITCH」など、
NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)に属するバンドらも自身のテーマ曲を持ち、これらはすべて1980年に発表されている。

 「ヘヴィメタル・バンドには、自身のテーマ曲がある」というフォーマットは、世界初のヘヴィメタル・バンドであるBLACK SABBATHの時点からすでにあったが、
とりわけNWOBHMのムーヴメントはインパクトが大きかったのだろう。

 ところで筆者が海外ヘヴィメタル・バンドに、バンドのテーマ曲があることを認識したのは、ヘヴィメタルの世界に入門後、しばらく経ってのことだった。
HELLOWEENの「HELLOWEEN」、HEAVENS GATEの「GATE OF HEAVEN」、BLIND GUARDIANの「GUARDIAN OF THE BLIND」、
REACTORの「REACTOR」、HELICONの「HELICON PART 2」など、ジャーマン・メタルのバンドがテーマ曲を持っていたのである。

 当時はジャーマン・メタルのムーブメントが巻き起こっており、筆者は某ジャーマン・メタルの布教に熱心な評論家のラジオ番組に乗せられて、
かなりしょぼいジャーマン・メタル・バンドまで追いかけていたのだが、レコード会社によるジャーマン・メタル青田刈りの末期は、
あまりにしょぼいバンドばかりで、寂しかったことを思い出す。

◆テーマ曲の源流はBAY CITY ROLLERS

 ではLOUDNESSは、何を参考にしたのだろうか。おそらくヘヴィメタルではないと思う。
というのも、LOUDNESSの前身バンドであるLAZYのデビュー・アルバム『This is the LAZY』(1978年)の1曲目が「レイジーのテーマ」だったのだから。

 そしてこれは、BAY CITY ROLLERSのデビュー・アルバム『Rollin’』(邦題『エジンバラの騎士』、1974年)の1曲目「ベイ・シティ・ローラーズのテーマ」をなぞっているものと思われる。

 LAZYは、売り出すにあたってBAY CITY ROLLERSを参考にしていたというのは有名な話。
つまり、ジャパメタ・バンドが、自身の名を冠したテーマ曲を持つというフォーマットの源流は、BAY CITY ROLLERSだったという答えにたどり着く。

◆ジャパメタとアニソンの意外な共通点

 ここで、ジャパメタとアニソンの共通点を指摘したい。アニソンというのは、男児向けの『マジンガーZ』、女児向けの『キャンディキャンディ』など、
いずれの場合もサビに番組タイトルまたは主役キャラ名を連呼するケースが多い。「番組冒頭に番組タイトルを冠したテーマ曲を流す」というフォーマットである。

 TVアニメの主題歌というのは、番組の顔であり、視聴者の心を掴まなければならない役割を課せられている。オープニングテーマ曲で、
番組タイトルまたは主役キャラ名を連呼するという手法は、非常に効果的であり合理的だ。

 筆者は物心つく前から、ロボットアニメの熱心な視聴者だった。そして1983年放送の『銀河漂流バイファム』をきっかけに、アニオタの道を歩むこととなった。

 そして、ロボットとは、鉄・重金属をまとったヒト型兵器であり、そのイメージにもっとも相応しい音楽ジャンルはヘヴィメタルだった。
しかも、ジャパメタとアニソンには、自身の名(バンド名・ロボット名・作品名)を冠したテーマ曲を持つという共通のフォーマットがあった。

 だからこそ筆者はそこに同じニオイを感じ、アニソンからジャパメタに移行しやすかったのだろうと、今、振り返ってみて思う。
この方程式は聴く側だけではなく、演奏する側にも当てはまりそうだ。つまり、ジャパメタ・バンドがアニソンを唄うのは非常に相性が良く、
また合理的でもあるということだ。いずれ書く予定だが、このことを証明したのが、アニメタルであり、JAM Projectであろう。

 アニオタの皆さんで、食わず嫌いだった方々は、是非ジャパメタを聴いてみてください。新しい世界が開けるかもしれませんよ。

【山野車輪(やまの・しゃりん)】

昭和46(1971)年生まれ。平成17(2005)年『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)を出版し日韓関係のゆがみを鋭く指摘。『ニューヨーク・タイムス』
、『タイムズ』など海外の新聞メディアでも紹介される。同シリーズは累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても2ちゃんねるや一部メタラーの間で有名。