確かに10月クール開始のドラマでも、フジの「本気度」は伝わってくる。最新の平均視聴率15・4%と絶好調の山下智久(32)主演「コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜THE THIRD SEASON」の後を継ぐ同局の看板枠「月9」には初の「月9」主演となる篠原涼子(44)の「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?」。篠原は自慢のロングヘアをバッサリ切って登場するという。

 火曜・後9時の「明日の約束」に主演するのは2年ぶりの連ドラ主演となる井上真央(30)。木曜・後10時の「刑事ゆがみ」主演の浅野忠信(43)は初の民放連ドラ主演。「初」「〜年ぶり」という言葉が並ぶ大物俳優集合に「ドラマのフジ」復活にかける思いが伝わってくる。

 一方で報道部門でも市川紗椰(30)がキャスターを務めた「ユアタイム」を1年半で終了させ、局アナとして大事に育成してきた椿原慶子アナウンサー(31)と松村未央アナウンサー(31)をキャスターに据えた「THE NEWS α」を10月2日からスタートさせる。立木編成部長は「局アナに代わったということで前とは全く違った形。基本に立ち返った形でニュース、スポーツを真摯に伝えたい」と力こぶを作った。

 そうだ。「真摯」という言葉もキーワードだ。6月28日の株主総会で退任した亀山千広氏(現BSフジ社長、60)時代、広告収入など本業の利益を示す営業利益は4年間で約4分の1に減少。この不振からの脱却には真摯に、根本的に「変わる」ことしかないのだ。

 改編発表会見に同席した石原隆編成統括局長(56)は過去、三谷幸喜さんと組んだ「王様のレストラン」「古畑任三郎」などヒットを連発した名プロデューサーだった大物テレビ人だが、会見後にあいさつすると、「作り手の本気度が伝わる会見ではなかったですか?」―。巨体を揺すって、そう言った。

 以前、「コード・ブルー」のヒットの理由を聞いた時にとても印象的だった石原氏の言葉がある。「プロデューサーの増本淳という男は24時間『コード・ブルー』のことを考えている男なんです。制作サイドにそういう人間がいる作品の熱さは、必ず視聴者に伝わると思っています」―。

 そう、真摯さと熱さこそが「リブート」のためのキーワード。復活を期すフジテレビ幹部の真剣そのものの言葉の数々は、スポーツ新聞というネットに押され気味の「非常事態」の紙媒体で働く自分の心にもズシリと響き渡った。そんな、お台場の午後だった。(記者コラム・中村 健吾)