民放各局の10月改編が発表シーズンを迎える中、TBSが午後8時と10時の番組を「正時スタート」に戻す方針を打ち出した。

「7時57分」「9時54分」など、テレビ界の主流となっているフライングスタートをやめ、シンプルな「00分」スタートに回帰する。7時台の終わりから8時突入までの“8時またぎ”をどう制するかに各局のカラーが出る中、TBSの動きは他局編成マンも気になる様子だ。

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 各局、特にフライングスタートが激しいのは、ゴールデンタイム(午後7時〜10時)の視聴率が軌道に乗ってくる8時台の番組。他局がCMの間、少しでも早く番組を始めて数字を稼ごうと、7時50何分という中途半端なスタート時間が乱立している。TBSも現在、「月曜名作劇場」以外は7時57分スタート。10月改編では、全曜日で「00分」に正時化するという。

 石丸彰彦編成部企画総括は「9時57分スタートというと、9時の番組なのか10時の番組なのか、あいまいで分かりにくくなっている。何時ごろ、ではなく『何曜何時の番組』と視聴者に認知してもらいたい思い」。これまで、曜日限定でピンポイントの正時化に踏み出した局はあるが、全曜日で実施するのはTBSが初めて。勝算について「心配ないかと聞かれれば、心配ないです」と自信をみせている。

 正時スタートの背景には、「分かりやすさ」以外に、ゴールデンタイムの入り口である7時台の番組の平均視聴率を上げたいねらいもある。一般的に、7時の番組は後半に進むほど数字が上がり、番組終わりにピークが来たりする。8時の番組が7時57分に始まってしまうせいで失っていた「あと3分」を本来の7時番組に戻し、トップバッターの平均視聴率を上げることでその後の勢いにつなげたい意向だ。

 伊佐野英樹編成局長は「TBSとしては7時台の番組の平均視聴率を上げた方が全体の流れにつながると判断して正時化に踏み切ったが、一方で、数字を上げきったところで次の番組に渡して8時番組の発射台を高くした方がいいという考え方もある。これはもうニワトリとタマゴみたいな問題で、どちらを効果的とするかは各局の判断」と話す。

 テレビ東京は従来通りのフライング型で、縄谷太郎編成部長は「正時化は検討しない」。ただ、各局のタイムテーブルに午後7時からの2時間特番が増え、8時またぎの工夫が熾烈になっている現状は痛感しているという。「TBSさんの動きは気になる」とし「各局が正時になっていくなら、やはりフライングしている局や番組にとってはちょっと先行のプラスになる。適性はジャンルにもよるので、今後も研究が必要」。

 4月改編で月曜20時の「世界まる見え!テレビ特捜部」のみ正時スタートにした日本テレビは、10月改編も同じタイムテーブルを維持。火曜〜土曜は、これまで通り19時56分スタートだ。

つづく

2017年9月6日 13時0分 日刊スポーツ
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/13574793/