ハザーラの多くはシーア派である。このことはアフガニスタンにおいて明らかにマイノリティであると言っていい。
ターリバーンはシーア派を異端視していたし、歴史的にもハザーラは差別されてきた。それには信仰の問題も絡んでいるだろう。

しかし、彼らを特徴づけているのはなによりもその顔立ちであるように思われる。そのこともあってか、ある種“白人優位的”な風潮は
アフガニスタンにもあって、モンゴロイド(私もだ)の顔立ちは貧相に見えるのだ。

そしてハザーラは時代によってはパシュトゥーン王朝によって奴隷とされたり強制移住させられたりという辛酸もなめてきた。
それゆえだろう、彼らは私を歓迎してくれる。「我々は兄弟だ、同じ"nation"だ」と。「日本は素晴らしく発展した国だ。韓国も、
中国も年々発展している」”我々”モンゴロイドは優秀なのだ、というわけだ。彼らがアフガニスタンの他民族との差異を表する時に、
しばしば指で鼻を押さえ、眼を横に引っぱり、「俺たちは鼻が低く眼が細い。それで馬鹿にされる」という。

イランへの難民、移民経験者からは「イランはイスラームの国だと思っていたのだが、なんだ、人種の国じゃないか。俺たちは
モンゴロイドということで見下される」と語るものもいた。内戦中にしてもイランは「同じ"nation"、"nationality"であるタージクばかりを支援していた。
武器弾薬はマスウドに送り、俺たちにくれたものはクルアーンとホメイニーのポスターだけだ」と語る元兵士もいた。イランはシーア派ゆえに同宗派の
ハザーラを支援していた、というのが定説なのだが、実際は違う、というのである。
そういった会話をするときに彼らは我々の概念で言う「人種」た「民族」に「nation」や「nationality」の語を使用する。「おれたちはパシュトゥーンとは違う
ナショナリティーなのだ」「俺たちと日本人、韓国人、中国人は同じナショナリティーだ」と言った具合に。