日本代表が世界に対抗するため“チーム解体”を断行する。ロシアW杯アジア最終予選は佳境を迎えているが、日本は今予選終了後に一気に世代交代を図る方針を固めた。

チームの主力は、長らく中心を担ってきたFW本田圭佑(31=パチューカ)ら「北京五輪組」から、20代前半の「プラチナ&リオ世代」へ。過去の成功例をもとに、大胆な若返り策で新たなチームづくりをスタートさせる。

 最終予選で有利に戦いを進める日本だが、アジアの格下相手に苦戦の連続だった。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)の就任後は代表のサッカーに進化が見られず、重用する選手も2008年北京五輪で台頭した本田やFW岡崎慎司(31=レスター)、DF長友佑都(30=インテル)、MF香川真司(28=ドルトムント)らベテランに固執。チーム内には閉塞感が漂っている。

 そんな停滞を打破すべく、予選終了後には大幅な“血の入れ替え”を計画。日本サッカー協会幹部は「最終予選が終わった後は選考方針も変わってくる。かなり若い選手を使っていくこともある。今リストに挙がっている選手以外で、急成長している選手とかもいる」と話す。世界の強豪と渡り合うために、伸びしろが大きく化ける可能性がある若い世代を積極的に招集、起用していこうというわけだ。

 本来ならば北京組の1つ下の世代にあたる12年ロンドン五輪の世代が中心になるところだが、チームの中核を成すまでには至っていない。そこで、さらに下の世代がフォーカスされた。

 すでにその布石は打たれている。今回のメンバーには「プラチナ世代」と呼ばれる1992年生まれの選手が5人も入った。これは誕生年別で最多タイ。その中でMF柴崎岳(25=ヘタフェ)やFW杉本健勇(24=C大阪)に大きな期待がかかる。

 代表のレギュラーに定着しつつあるDF昌子源(24=鹿島)は「92年組がいて、いつもより多くなっている。僕らが日本の力になれるようにしたいと思っている」と勢力拡大を強く意識。同世代には今回選外の選手にも、30日にドイツ1部アウクスブルクから同2部デュッセルドルフへの移籍が決まったFW宇佐美貴史(25)や候補リスト入りしているFW江坂任(25=大宮)ら人材は豊富だ。

 さらに昌子は「その下の世代もいて、そういう年代でもっともっと盛り上げたい」。リオ五輪世代では、すでに代表で主力のFW久保裕也(23=ヘント)のほか、欧州で実績を積んだFW南野拓実(22=ザルツブルク)や世界基準のパスセンスを持つMF鎌田大地(21=Eフランクフルト)、MF関根貴大(22=インゴルシュタット)らが今後のターゲットになる。また、東京五輪世代で5月のU-20W杯(韓国)で活躍したMF堂安律(19=フローニンゲン)も急成長ぶりが注目されている。

 こうした大胆な若返り策を仕掛けるのも勝算があってのこと。10年南アフリカW杯で当時の岡田武史監督は大会直前に本田や長友、MF長谷部誠(33=Eフランクフルト)、GK川島永嗣(34=メス)ら若手を大量にスタメンに抜てき。批判や不安が飛び交う事態になったが、チームは16強入りを果たして正当性を証明した。

 この成功例は日本サッカー界にとって大きな財産。協会内でも若手への移行のハードルは低く、大胆な変革を後押しする材料になっている。本田や香川のいない「新生日本代表」が躍動する日はすぐそこまできている。

つづく

8/31(木) 16:55配信 
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170831-00000042-tospoweb-socc