シロ、クロ両方のケースあり

 クレンブテロールで問題となったのが三浦隆司(帝拳=引退)との激闘が年間最高試合に選定された
前WBCスーパーフェザー級王者フランシスコ・バルガス(メキシコ)だ。昨年、同じく激闘を売り物にする
オルランド・サリド(メキシコ)との防衛戦を前に、やはりVADAの検査でその物質が発見された。
しかし試合は挙行され、予想を超える死闘の末、ドローでバルガスが辛くも防衛を果たした。
 この時バルガスのプロモーター、ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)は
「彼がメキシコのキャンプで食べた肉にクレンブテロールが混じっていた可能性が高い」と報告。バルガス本人も
「検査の前に2日連続して牛肉を食した」と認めた。同様なケースでは同じくメキシコの4階級制覇王者エリク・モラレスが
ダニー・ガルシア(米)との第2戦を前に同じ物質が検出されたことがある。モラレス陣営も
「食べた肉に偶然入っていた・・・」と主張したが、試合後サスペンド処分をニューヨーク州コミッションから科されている。
 バルガスがリングに登場できた理由にはアマチュア当時、オリンピック規格の厳格なドーピング試験を何度も
パスした実績や相手のサリドが以前、ネバダ州コミッションから違反薬物でアウトになった背景から、
自身で率先して検査を受ける姿勢を見せたことが挙げられる。またGBPが政治力でWBCを説得したとも推測できる。
食べた肉が災いした?
今回、ネリのケースもメキシコでは“食肉説”が主流。アメリカで飼育された牛肉を(人と物の交流が多い)
アメリカ国境に接する町ティファナに住むネリが食べたから――と報じるメディアもある。
ネリのプロモーター、フェルナンド・ベルトラン(サンフェル・プロモーションズ)は
「ルイスはとても健全なボクサー。心配することは一切ない。すべてのことが明らかになり、
今回の偉業のエピソードのひとつに終わるだろう」と報道を一笑する。