この国をおかしくしているのは、テレビなのかもしれない。
昨年6月に都知事を辞職した舛添要一氏が、17日放送のTBS系「有吉ジャポン」に出演。

そこで同氏の口から出てきた言葉は反省の弁ではなく、被害者意識とも取れる発言だった。
政務活動費、いわゆる我々の血税で絵画や美術品、はたまた「クレヨンしんちゃん」や蕎麦打ちの本までも購入。

疑惑が表面化しても「違法性はない」と強弁して、全都民からソッポを向かれた。
これについて同氏は「私は正直なんです。間違っていないと思うことを言うのがイヤで、そのまま本音を言ってしまった」と悪びれる様子もなくコメント。
共演者の反発を招いた。

“らしさ”全開だったのは、通院中の病院に取材スタッフを呼び寄せるシーンだ。
舛添氏はベットに横たわり、起き上がってもツエをつく状態。

「右側股関節を手術しまして、今、リハビリしているんです」と告白した。
さらに手術から3週間後、都内の自宅にスタッフを招くと、本で埋め尽くされた10畳ほどの地下室に案内し
「朝から晩までマスコミがいて、ここにいるしかなかった」と辛〜い潜伏生活をアピール。

「とにかく社会復帰というか、大学の先生になるとか就職活動をしなければいけないけど、誰も喜んで『舛添さん、来て下さい』という状況ではない。
収入も(月に)事務所からの月給11万円だけ」と明かし、約100円のカップラーメンをすする様子を撮影させた。

実はこれは同氏の常套手段。
2007年、参院選に出馬した同氏は大阪で演説中に暴漢に襲われた。

と言っても、血だらけになったのは男性スタッフで、同氏はかすった程度。
にも関わらず、東京駅にマスコミを集め、新幹線から足を引きずって降車する姿を撮影させた。

「マスコミ取材が終わると、舛添氏はさっきとは別人のような足取りで帰っていきました。
男性スタッフの心配より『これで選挙は勝てるな!』と嬉しそうだった」と、当時取材した政治担当記者は語っている。

弱々しい姿をさらして世間の情に訴えるのが舛添流というわけだ。
番組放送後の18日、同氏はツイッターで「抜群の視聴率でした。

テレビの常としてOAされない部分のほうが多かったですが、拙著『都知事失格』も是非お読み下さい。
豊洲・築地、五輪競技施設、社会保障など都政の課題にも言及しています」とアピール。

平均視聴率は10.7パーセント(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だった。
政界関係者は「いまごろ本人は上機嫌で各テレビ局に再就職先のお願いをしているだろうな」と苦笑する。
テレビが視聴率至上主義なのはわかるが、果たしてこれでいいのか……。

加えて同氏には訴訟の問題もある。
今月17日、都民約30人が、2020年東京五輪・パラリンピックの選手村用地を不当に安く売却する契約を東京都が結んだとして、小池百合子知事や舛添要一前知事らに適正価格との差額を賠償させるよう東京地裁に提訴した。

訴状によると、都は昨年12月、中央区晴海5丁目にある約13・4ヘクタールの土地を不動産会社11社に計約129億円で売却する契約を締結。
舛添氏の在任中に売却に向けた手続きが進められ、小池氏の下で契約が結ばれた。

原告側は、売却額が近隣の地価に比べて10分の1程度だと指摘。
不動産会社から代金の大半は支払われていないが「売却が完了すれば大きな損害が生じる」と主張している。
まだまだ“舛添問題”は終わっていないのだ――。

http://tocana.jp/2017/08/post_14212_entry.html