コンサドーレ札幌の元監督、財前恵一氏(49)が8月、同クラブの下部組織である札幌アカデミーのヘッドオブコーチ兼札幌国際大サッカー部監督に就任した。世界で戦える選手を地域で育てようという試みを、1歩発展させた形だ。三上大勝ゼネラルマネジャー(45)は「この1〜2年で育成メソッドを作り上げたい」と話す。地域の大学サッカー界強化にも、期待を寄せている。

 同大学は女子短大として開学し、90年代後半に現在の名称に変更。男女共学化に伴い、サッカー部が発足した。創部当時は80人ほどいた部員も年々減少し、リーグ戦に参戦できない時期もあった。今年から北海道学生連盟に復帰し、同リーグ・ウエスト3部で8チーム中3位。監督不在、練習は週2日、1部昇格はいまだなし…。大学によってはサークルのほうが強いんじゃないかと思われる、いわゆる“弱小”チームだ。

 そんなチームに、S級ライセンス指導者が挑むのだ。今後は札幌ユース出身者の受け皿として期待ができるだけに、メキメキと力を付けるだろう。クラブ関係者が「将来的に大学選手権に出場できるようなチームになれば」と思い描くように、地方の超弱小チームが大学日本一になるなんていうサクセス・ストーリーも、あるかもしれない。

 今年6月、J2熊本のヘッドコーチを退任し「シーズン途中に仕事がなくなった時期に、この話しをいただいた」と財前氏。「少しでもクラブに恩返しができれば。自分の経験をうまく伝えていきたい」と、新たな挑戦に意欲を見せた。高校時代は室蘭大谷(現北海道大谷室蘭)で全国高校選手権4強、高卒ながらプロ契約で日産自動車(現横浜)入りと、北海道を代表するサッカー人の財前氏が、どんなチームを作るのか。ドラマチックな展開を、期待したい。【中島宙恵】

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