0001YG防衛軍 ★@無断転載は禁止
2017/08/16(水) 16:37:15.59ID:CAP_USER93分と表示されたアディショナルタイムは、間もなく終わりを告げようとしていた。
スコアは0-0。タイトルの行方は延長戦にもつれ込むと予想された、その時だった。
ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下:千葉)は、ハーフウェーライン手前からMF瀬戸口梢がドリブルを開始。瀬戸口は味方の位置を確認しながら左サイドをペナルティエリア手前まで持ち上がると、迷わず左足を振り抜いた。強烈なシュートはゴールを横切るようにしてファーサイドに飛び、右ポストの内側を直撃して、ゴールネットを揺らした。
「横には上野(紗稀)選手が走ってくれていたし、ゴール前に走りこんでくれた選手もいて、みんなで運んだボールだから大事にしなければいけないと思っていました。でも、ここで打たなければ悔いが残る、と。思い切って打ちました」(瀬戸口/千葉)
8月12日(土)に行われたなでしこリーグカップ決勝戦は、千葉がアディショナルタイムの瀬戸口の劇的ゴールで浦和レッドダイヤモンズレディース(以下:浦和)を下し、なでしこリーグ1部での初タイトルを獲得した。
試合終了のホイッスルと同時に、味の素フィールド西が丘(国立西が丘サッカー場)の夜空には、長年、千葉を応援し続けてきた熱烈なサポーターの大歓声がこだました。
“華麗なサッカー”ではなかった。
狙い通りの攻撃からシュートにつなげた場面は、前後半を通じても数えるほど。攻撃で良い形を多く作っていたのはむしろ、浦和の方だった。
それでも千葉は、自陣ゴール前での危険な場面では全員が体を張って浦和のシュートを阻止し、90分間、粘った末に訪れたラストチャンスをモノにした。
試合後、初タイトルの感想を聞かれた三上尚子監督は「嬉しい反面、慣れない感じですね」と初々しい表情を見せつつ、「90分間、よく耐えたと思います」と、浦和の猛攻をしのぎ切った選手たちをねぎらった。
浦和と戦う上で、絶対に抑えなければならないポイントの一つが、浦和の攻守を司るMF筏井りさとMF猶本光のダブルボランチだった。その二人をマークしたのが、瀬戸口とMF鴨川実歩だ。
「筏井選手は筑波大学の先輩で、猶本選手は後輩。鴨川も同じ大学だったので、中盤では負けないようにしよう、と鴨川と話していたんです」(瀬戸口)
ポジション的に浦和の攻撃をリードする猶本に対して千葉は、人数をかけて囲い込む守備を徹底した。その結果、猶本に対するファウルが増え、FKを与えて何度かピンチも招いた。
一方、69分には瀬戸口が後方からスライディングで猶本のボールを奪ったが、その際、足がもつれて逆に猶本からファウルを受ける形になり、互いに熱くなる場面も。それでも、最後まで中盤の主導権は渡さなかった。
DF櫻本尚子とDF西川彩華の両センターバック、そして、右サイドバックの若林美里と左サイドバックの上野紗稀の4人で構成される千葉の最終ラインは、丁寧なラインコントロールで、浦和の前線の起点となるFW菅澤優衣香、FW安藤梢の2トップをけん制し、仕事をさせなかった。
【「走る」ことが強みだと思っていることが強み】
昨年、同リーグカップ決勝戦で日テレ・ベレーザに0-4で大敗した苦い記憶は、この決勝戦に臨む千葉の選手たちの大きなモチベーションになっていた。
「去年の悔しい決勝戦を何人も経験していたことで、この試合の”耐えどころ”を耐えることができたのは大きかったと思います」(三上監督)
準決勝のINAC神戸レオネッサ戦でも、千葉は4倍以上のシュートを浴びながらなんとか無失点に抑え、後半開始早々にカウンターからMF千野晶子が決めた虎の子の一点を守りきった。
劣勢の中で優勝までたどり着けたのは、チームコンセプトである「走るサッカー」を、全員が怠ることなく継続してきた結果だ。
試合終盤、瀬戸口がゴールを決めた場面でも、千葉はゴール前に5人もの選手がサポートに入っていた。
一昨年の皇后杯終了後に千葉から浦和に移籍した筏井は、「ジェフ(千葉)は、『走ることが強み』だと思っていることが強みだと思います」と話した。
なぜ、千葉の選手たちはそんなに走れるのか。
その理由を探ると、いくつかの興味深い理由が見えてきた。
https://news.yahoo.co.jp/byline/matsubarakei/20170815-00074560/