未来のためにドラゴンズに望むこと

 昨年球団創設80周年記念事業としてドラゴンズベースボールアカデミーを設立。今年で2年目を迎え、鈴木孝政校長のもと、園児年長〜小学校4年生の男女を対象にこれから野球を始めたい、または未経験者で野球に興味がある子どもを教えるキッズ野球教室を開催し、野球の楽しさを実感してもらおうとするプログラムを用意しているという。誠に結構なことである。地元のプロ野球チームが率先して地域の子どもたちへ野球の素晴らしさを伝えてもらえるなんて昔では考えられなかったこと。ただ願わくば、野球人口減に歯止めがかからない今、もう少し、いやもっとプロ野球チームの底力を発揮してもらいたいと思う。

 ドラゴンズであれば、親会社は新聞社。各地域に新聞専売店が存在するわけで、今以上に草の根運動が展開できると期待してしまう。もちろん自治体、地元企業、できることならば町内会等からも力を貸してもらい、子どもたちをバックアップしてもらえれば最高だ。何月何日××小学校へ集合! みんなでキャッチボールをしよう! なんて、はじめの一歩のから元選手の指導の下でリスタートしてもらえたら、子どもたちには素晴らしい経験になろう。同じタイミングで大人、親たちにもコーチをしてもらえることができれば有難い。

 子どもにとっては親が一番の先生となるわけで、親子キャッチボールが日常生活に根付くことが野球普及には一番効果が期待できよう。できることならばおじいちゃん、おばあちゃん、お母さんまでもグローブを持ってキャッチボールを楽しんでもらう。考えただけでも素晴らしい光景が目に浮かんできそうだ。某スポーツメーカーが流していた野球好き好きCMのようにみんな笑顔で楽しくボールを追いかけてもらいたい。そして参加した子どもにはドラゴンズ帽をプレゼントし、街中にCDマークを溢れさせようじゃありませんか。

 自分の住む町で野球に興味を覚え、好きなチームの帽子を被り、そしてその子たちがナゴヤドームへ挙ってやってくる。入場者減少で頭を痛めるドーム関係者も願ったり叶ったりの話。まさに相乗効果とならないか。

 野球の楽しさ、面白さという地道な種蒔きを今のうちから一刻でも早く、展開してもらいたい。でなければきっと後悔することになる。言葉を換えれば、ドラゴンズ自体の存亡にも関わってくる話となる。このまま無策のままで時を過ごせば10年後、20年後、きっと今以上に野球は日常生活から遠のき、衰退していよう。それを回避する意味でも野球という愛すべき球技をマイナースポーツにしないよう、ドラゴンズだけでなく他の11球団の力を結集させ、“日本の野球”をいつまでもいつまでも守り続けてもらいたい。

 暑い夏、熱い夏には野球がよく似合う。未来永劫、全国の球場から絶え間なく大歓声が聞こえることを願ってやまない。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/3775でHITボタンを押してください。