憲法に政治的な権限はないと明記してあっても、
天皇が全国放送で希望を述べると、誰もそれに反対することができない。
憲法に貴族制度はまかりならぬと明記してあっても、
「上皇」みたいなあり得ない制度ができてしまう。
日本は未だに、そういう法が法として機能していない前近代的国家なんだよ。

70年前の大日本帝国の憲法では、主権者は天皇となっていた。
主権がないとする日本国憲法下でも、天皇はやりたい放題だけれども、
主権者だと明記してあった戦前の日本では、
日本国を統べる神として、あらゆることを成し得る絶対的存在だった。

戦前の日本、とりわけ昭和以降の大日本帝国において、
昭和天皇の判断に反対できた人間なんてただの一人も居たわけがない。
このことは東条英機の宣誓証言を振り返るまでもなく、
誰にも否定のしようがない歴史的事実である。

戦争が始まってしまったのは、昭和天皇の意思に他ならないし、
戦争が長引いたのも、昭和天皇の意思に他ならない。
彼がやるといったから、戦争になったのだし、
彼が続けるといったから、戦争が続いてしまったのだ。

国の内外で、何百万、何千万という人間を死に至らしめた彼の判断は、
悪魔の判断という以外に適当な表現は見当たらず、
ご聖断などであるわけはない。