試合のないある日、隣の大型商業施設エキスポシティとは対照的に、
4万人収容の市立吹田サッカースタジアムは人影もまばらだった。
静まり返ったその様子は、G・大阪が開場前に描いていた青写真からは程遠い。
「吹田Sを街のシンボルにする」。それが、G・大阪の狙いだった。
欧州ではスタジアムにホテルやショッピングモールが併設されていたり、
設置されている太陽光パネルを小中学生の事業で解放したり。
試合が開催されない時も様々な世代の人々が交流する場を提供する、
これがG・大阪が描いた青写真だった。サッカーの試合があるのは年間30試合前後。
それ以外の日に、いかに人を呼び込むのか?吹田Sにある国内最大級VIP専用ラウンジや
最大20人収容の個室的バルコニー席を、結婚式や企業の会議室として利用してもらう。
そして大型イベントの開場として貸し出す。そんな構想を持っていた。

芝生に苦しむ

 しかし現実は違った。ピッチの芝生の根付きが悪く、大型イベントだけではなく少年サッカーや
他競技にも開放できなかった。来年から数千万円をかけて芝の張り替える作業に取り掛かるが、
先行きは不透明だ。コンサートなども芝の問題に加えて、大阪府条例で騒音規制があり開催が出来ない。
Jリーグスタジアム推進グループの佐藤仁司マネージャー(59)は「キャパが増えた以外は、
万博(記念競技場)を使っていた時と変わらない。まだスタジアムビジネスは確立していない」と指摘する。
G・大阪の伊藤新次郎部長(49)も「今のままでは収益を維持するのは難しい」と危機感を募らせる。
本業の観客動員数も不安な傾向が出ている。対戦相手や天候が違うので一概に比較できないが、
第2ステージは、第1ステージよりも1試合当たりの観客動員数が2202人減った。