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 家族の中で、一番影響力の大きい存在は母です。母が元気だとみんな元気になり、母がつらそうだとみんな静かになります。志田家を引っ張っている存在です。

 私が芸能界に入ったのも、母が習い事感覚で劇団に入れたのがきっかけでした。
幼稚園の年長だった六歳の時に、子ども劇団に入団しました。母は「テレビに出られたら思い出になる」という程度の気持ちだったそうです。

 小学生の間は、いつも現場に母がついてきてくれていました。
「遊びじゃない。仕事なんだよ」と常に厳しく言われていたので、幼いながらもしっかりやらないと、という認識はありました。
「適当にやったらだめなんだ、若いからといって甘えが許される世界ではない」と思っていました。

 ところが、中学に上がる時に、母から「いつでも辞めていいからね」と言われたんです。
ちょうど、妊娠して出産する中学生と家族を描いた「14才の母」というドラマに主演する前のことでした。

 中学生になると、現場の付き添いは母からマネジャーに代わりました。
母としては「自分はもうそばにいられない。つらいことがあったら我慢しないでいいんだよ」という思いだったようです。

 母から「いつでも辞めていい」と言われたのを、当時は軽く受け止めていました。でも、この言葉のおかげで、プレッシャーを感じずに伸び伸び仕事をすることができました。
もしあの時、「頑張ってね」と言われたら重荷に感じたかも。あえて負担を感じないよう、軽く言ってくれたのかもしれません。

 今、女優として活動できているのは、母が当時、「辞めてもいい」という言葉をかけてくれたからだと思います。
どの現場も楽しいし、辞めたいと思ったことは一度もありません。母の言葉が、すごく大きな支えになっていたんだなと感じます。

 父は優しくて、面白くて、家族を一番大事にする人。亭主関白とは百八十度違う、理想の男性です。
私と一つ下の妹のことも、いつも優先してくれていました。父とは思春期特有の衝突もなく、二人で水族館に行ったり、ドライブしたり。
高校生の時には、クリスマスに父とイルミネーションを見に行ったくらいです。きっと父を超える人はいないので、父みたいな人を見つけたいです。

 私、両親に憧れているんです。二人は中学の同級生で、中学生の時から付き合っていました。お互いに全てを知り尽くしていて、二人にしか分からない笑いのツボがあって。
今でも二人で旅行に行くなど仲がいいです。私も、子どもが憧れるような夫婦になりたいです。

 聞き手・今川綾音/写真・北村彰

<しだ・みらい> 1993年、神奈川県生まれ。2000年に7歳でデビュー。テレビドラマを中心に活躍。
06年「14才の母」(日本テレビ系)の主演で脚光を浴びた。10年には、アニメ映画「借りぐらしのアリエッティ」で声優に初挑戦。
フジテレビ系で放送中のドラマ「ウツボカズラの夢」(東海テレビ制作)で主演を務める。