11日に登場する智弁和歌山(和歌山)を率いる高嶋仁監督(71)は、80年から37年間指揮を執る大ベテラン。
春夏通じて3回の優勝実績があるが、12年以降3大会初戦未勝利が続いている。
これまで何度か勇退報道がスポーツ紙を賑わせたが、本人はどう思っているのか。
今春、OBで、元阪神の中谷仁氏(38)がコーチに加わったことも併せて聞いてみた。

――ここ数年、初戦突破できずにいます。

「理由は簡単、相手が強いから。うちには絶対的な力がない。大阪桐蔭みたいな選手がいない。
和歌山でもトップの選手は全部(引き)抜かれますから。そこが歯がゆい」

――引き抜かれてしまうのはなぜ?

「向こうは(学費)免除とか特待生(制度)があるけど、うちは一切ない。
大阪とか兵庫から来るとして、安く見積もっても月に12万〜13万円はいります。
うちには寮もないから、自分でマンションを借りて授業料を払って来るわけですから、サラリーマン家庭では無理です。
うちに限らず、和歌山県のどこの高校が出ても勝てないと思う。ここ5、6年苦しんでいるのは、そういう経済的なもんですよ。
そこは太刀打ちできません。学校が出してくれるなら別ですけど」

――学校に掛け合わないんですか?

「掛け合ってもしゃあない。それで今までやってきたから」

――潮目が変わった原因は?

「母子家庭が増えてきたのは、感じています。絶対にうちなんか来ませんよ、お金がいりますから。
これから野球が強くなるのは大阪桐蔭みたいにトップチームをつくれる学校。
これまでは、何とか引っぱたいてシゴキまくってきたけど、今はそんなんできない。
手出したらいかんと聞いていたから、(08年に)足出したら、3カ月謹慎。
まあ、その蹴飛ばしたやつ(岡田俊哉)は今、中日で投げとるけど」

――いわゆる鉄拳制裁はできないご時世ですよね。

「もう、変わらないかんなとは思ってるんですけど、僕も昔の人間ですから、ついバッと言うてしまう。
だから、もう指導者が若いのに代わらないかんですね。(選手の年代が)もう孫ですから。
(大阪桐蔭の)西谷(浩一)監督と話していると、自分とはちょっと違うなと思う。
彼は選手のハートの部分をうまくつかんで、失敗しても怒らずアドバイスをする。
僕らは『あかん、やり直せ!』という感じですから。ホンマにええ指導者になったなと。
せめて“夜”は負けたらあかんと思って、この前の抽選会後、
(明徳義塾の)馬淵(史郎)監督と西谷と食事に行って、ボロカスに西谷を“口撃”しましたけどね(笑い)」

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/211184
2017年8月10日

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