高野連は「聖地・甲子園」の原点に戻れ

学校法人が経営する私立高校に校区の制限はなく、遠方の都府県から優秀な生徒を誘致するのは違法でもない。

しかし高校野球の原点は、都道府県の代表として選ばれた49校が、伝統の甲子園で日ごろ鍛えた技と力を競うものではないのか。

だからこそ、地域の代表チームを送り出した地元のファンが熱烈応援し、感動し、涙を流す。

ところが、全国各地から有望な野球少年を集める野球名門校が、毎年のように甲子園に出場しても「地元ファンの感動は薄い」という話をよく聞く。さもありなん、である。

私があえて“越境入学”に反対するのは、高校生活の3年間は野球だけでなく、基礎教養をしっかり身につける時期だからだ。

この大事な多感な時期に、親元を遠く離れて野球漬けの寮生活を送る必要があるのか。野球名門校や甲子園常連校は、県外選手の寮生教育に甘くなっていないか。

選手も、どうしても甲子園に行きたいのなら、わざわざ遠い私立高校に行くのでなく、地元都道府県の高校で甲子園を目指したらよいではないか。

今大会の開会式でも、祝辞の文部科学副大臣は「都道府県代表として本大会の出場を果たされたみなさん」と呼びかけ、
日本高校野球連盟会長も励ましの言葉で「高校野球の聖地・ここ甲子園球場で〜」と選手たちを激励した。

高野連は、私立高校の広告塔かプロ野球選手の養成機関になりかねない“越境入学”を見直し、甲子園大会を教育の原点に戻すべきだ。