代表格は数々の伝説を残した栃木・作新学院の江川卓投手である。

1980年代に投打の甲子園記録を塗り替えたのは、大阪・PL学園のエース・桑田真澄と主砲・清原和博内野手のKKコンビだ。

そして90年代に登場したのがゴジラ旋風を巻き起こした石川・星稜の松井秀喜と、
98年に春夏連覇を達成して「平成の怪物」と呼ばれた神奈川・横浜高の松坂大輔投手。

さらに2000年代には宮城・東北高のダルビッシュ有と、北海道・駒大苫小牧の田中将大の剛腕コンビがいる。
2人は今や、大リーグ・ドジャースとヤンキースの主力投手である。

メジャーといえば、大リーグ移籍が注目されている日本ハムの大谷翔平投手も岩手・花巻東時代、高校野球岩手大会でアマチュア史上初の球速160km/hを記録した。

メジャーのエース・ダルビッシュも田中将大も関西出身

102年の歴史を飾る甲子園の名選手をあげればキリがないが、私が注目するのは、その多くが私立高校の生徒だったことだ。

もちろん、私立高校がいけないというつもりはない。
私立もそれぞれの個性的な教育方針にそって長年の実績を重ねてきた。
しかし残念に思うのは、甲子園出場校のうち私立高校がついに83%に達し、そのほとんどが遠方の県外選手を受け入れていることである。

すでに知られているように、尽誠学園以外でも、横浜高の松坂は東京・江東区育ちだし、
東北高のダルビッシュは大阪・羽曳野市で生まれ、地元の少年野球で才能を磨いた。

駒大苫小牧の田中も兵庫県伊丹市の少年野球で頭角を現し、野球名門校に入るため北海道に渡ったのだ。

ついでにいえば、甲子園の決勝戦で田中に投げ勝った早実の斎藤佑樹(日本ハム)は群馬県の出身である。

このほかにも、同じような遠隔地から越境入学で寮生活を送る高校球児は多い。

たとえば今大会に初出場した早稲田佐賀は、早大の創立者・大隈重信の出身地という縁で大学の系列校になった。
早大への進学目的で集まる県外生徒のために専用の寮があり、歴代の野球部員の中にも寮生活で卒業した生徒がいる。