【40代でも圧倒的多数が「治療ナシ」で出産に至るという現実】

さて、いずれにしても、不妊治療成果から見ると、40代で治療開始した場合、治療を続けても10〜30%程度しか出産に至らないということになる。
つまり、大半の女性は妊娠ができないのだろうか。ここも誤解をしないでほしい。
なぜならこれは「不妊治療をした人のうち、子どもが産まれた割合」だからだ。
不妊治療などせずに、普通に子供を産んでいる人はこの数字には含まれていない。そしてそうした人の数は多い。厚生労働省の人口動態調査から、その様子を説明していくことにしよう。
まず、40代の女性の出産総数は2011年全体で3万8280件(人口動態調査)ほどある。
このうち、不妊治療による出生数はどのくらいか。検討会資料から以下推定してみよう。

40代の治療件数・・・・・・11万2542件(今回報告のなかの「全年代を含む治療総件数」)×30.1%(40代前半と後半の治療割合の合計)=3万3875件
これに治療当たりの成功件数を掛け合わせると、治療による出生数の概算値が求められる。
1回当たりの治療の成功率は40歳が7.7%と一番高く、あとは年齢にしたがって下がり、45歳で0.6%となる。仮に「最大数」を見込むなら、全員が40歳で治療したと仮定して、3万8280件に7.7%をかけると、2608名。
現実的には41歳以降でも治療をしている人は多々いるのだから、人工受精による出生数はここまで多くはないだろう。

とすると、40代不妊治療による出生数は最大でも2608名、
対して治療せず自然に生まれた出生数は最低でも、上記3万8280件(人口動態調査)からの差分となる3万5672件。
実に、治療による出生の14倍近くも、普通に出産できているということだろう。

しかも、40代の出生数は年々伸びている。
最低だった1980年の7169名と比べて、現在は4倍増以上なのだ。
その結果、40代出生率もかつての0.008から、現在では5倍にも上昇しているのだ。