【球界ここだけの話】

 「1カ月早く、トレードが成立していれば…」と思ったのは、記者だけではなかった?! 中日・岩瀬仁紀投手(42)が、プロ野球記録の950試合登板を達成した
6日の巨人戦(東京ドーム)。この日、日本ハムから金銭トレードで入団した谷元圭介投手(32)が移籍後2度目のマウンドに上がった。勝ち越した直後の
八回を無失点に抑え、竜のセットアッパーとして、野球人生の再スタートを切った。

 記者は谷元のトレードが正式発表されてから一夜明けた1日、DeNA戦取材のために、横浜スタジアムに向かって歩いていると、球団首脳とバッタリ遭遇した。
「1カ月早く、谷元が入団していれば、クライマックスシリーズに出場する可能性はかなり高かったんじゃないですか」(可能性がゼロになったわけではありません)。
雑談の中でのひと言が…森監督の耳に入っていたのだ。

 この日のDeNA戦は降雨中止に。森監督はベンチにドカッと座り、雨空を眺めたあと、記者を見つけるや、開口一番、「おい、1カ月早かったら…とか、
誰かに言っていたらしいな」。鋭い眼光を向けてきたではないか!! 固まってしまった。ところが、怒るどころか、谷元獲得の舞台裏を熱く語り始めるではないか。
またまたビックリだった。

 話を要約すると、世代交代を進める日本ハムの情報をキャッチ。手薄なリリーフ投手の強化のために、谷元をターゲットに絞り、複数選手による交換トレードを
目指していた。交渉は不成立に終わり、あきらめかけていたが…。最後の“ひと押し”で、谷元の獲得にこぎつけたというのだ。

 「もちろん、早く決めたかったが、トレードは相手のあることだからな」と説明してくれたが、なによりも収穫だったのは、記者のつぶやきを、真っ向から
“否定”しなかったことだ。

 中日は開幕5連敗スタート。最下位に低迷したが、若手の先発投手の台頭もあって7月7日の時点で借金を「3」にまで減らし、3位DeNAとは1ゲーム差まで急接近。
1カ月前のことだった。

 だが小笠原、鈴木が調子を落とし、ドラフト1位ルーキーの柳はけがで離脱。しわ寄せはリリーフの登板過多となって投手陣は崩壊。Aクラス入り寸前で
5連敗、7連敗と失速した。

 後日、球団首脳は「谷元投手のことを監督と話していると、君の言葉を思い出してね」と両手を合わせて、わびのポーズをした。勝負の世界に「たら」
「れば」は禁句だが、1カ月前に谷元がいれば…。球団トップもそう思っていた!?(三木建次)

サンスポ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170807-00000526-sanspo-base