政府の犯罪 ― 加計学園獣医学部新設の裏
http://hunter-investigate.jp/news/2017/05/-15-1118121750.html

安倍晋三首相の「ご意向」が示されたのかどうかにかかわらず、国家戦略特区を利用した加計学園の獣医学部新設が、政権ぐるみの便宜供与であることは疑う余地がない。

首相とその親友の関係が背景にある疑惑でありながら、所管省庁である文科省の実務を取り仕切っていた前事務次官の証言を、安倍政権は黙殺する構え。真相を明かされた瞬間、
政権そのものが吹っ飛ぶからに他ならない。

「加計学園だけを特別に扱ったわけではない」と強弁を続ける政権側だが、この問題の核心部分である“大学設置認可基準に関する告示”をめぐる動きから、同学園の提案しか
認められないような形を作り上げていたことが明らかとなっている。 

■「岩盤規制」は虚構

加計学園が獣医学部を新設するにあたって最大の壁となっていたのが、文科省が平成15年に告示した「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」。

文科省は、大学の新設等に関する認可基準について「歯科医師、獣医師及び船舶職員の養成に係る大学等の設置若しくは収容定員増又は医師の養成に係る大学等の設置でないこと」
と規定しており、獣医師養成のための学校・学部の新設を認めていなかった。同様の状態が50年以上続いており、安倍首相とその周辺はこれを「岩盤規制」だったとしている。だが、
この主張は間違い。政権側が勝手に持ち出した虚構に過ぎない。

そもそも岩盤規制とは、規制を解除あるいは緩和することで多くの国民に恩恵をもたらすにもかかわらず、役所が従来の規制方針を頑なに守ること。分野ごとの守旧勢力に「既得権益」
があるからだ。しかし、獣医学部新設に反対してきた学会や日本獣医師会に特別な既得権があるわけではなく、逆に規制を緩めることで獣医師過剰が懸念される状況だ。つまり、
獣医学部新設を認めない文科省の方針は「岩盤規制」ではなく、獣医学分野の秩序維持が目的。政権側の主張は筋が通らない。さらに言うなら、学部新設で利益を得るのは加計学園だけ。
一部のためだけの規制緩和が国策としてまかり通ったことに、最大の問題があると言うべきだろう。

■獣医学部新設 ライバル京産大を断念に追い込んだ手口

加計学園の野望を遂げさせるため政権ぐるみで行ったのが、前述した「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」の無効化である。国家戦略特別区域諮問会議の
結果を受けた内閣府と文科省は、昨年11月18日から12月17日の期間で獣医学部の新設を認める告示案についてパブリックコメントを実施。意見募集にあたって公表された内容に、加計学園を
助けるためのカラクリがあった。内閣府のホームページ上に残されている募集概要(下の文書参照。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)によって、“犯意”を証明することが可能だ。