8月4日開かれる「検討会」

 公正取引委員会が芸能界の調査を始めた──7月7日、NHKがそう報じた。

 「芸能界“契約トラブル” 公取委が事務所などに調査」と題されたそのニュースは、同局で繰り返し報じられたが、そこで注目すべきは冒頭で複数のタレントの名前が挙げられていたことだ。SMAP、のん(能年玲奈)、清水富美加である。

 昨年から今年にかけて、この3組が独立や移籍をめぐって所属事務所と衝突し、大きな騒動となったことは記憶に新しい。また、相次ぐ芸能界のトラブルを受けて6月には5人の弁護士による「日本エンターテイナーライツ協会(ERA)」も発足した。NHKの報道はそうした状況を踏まえ、さらに多くの芸能プロダクションが加盟する業界団体・日本音楽事業者協会(音事協)の統一契約書にも注意を向けている。

 他メディアが追従したのは、それか5日後、公取委から正式な発表がなされてからだ。

 7月12日、公取委は「人材と競争政策に関する検討会」を開催することを発表した。これは、芸能人をはじめスポーツ選手やIT系人材など、「プロ人材」とも呼ばれる専門性の高い個人事業者の働き方を見直すものだ。1000万人を超えると見られるこうしたプロ人材が、企業との関係で仕事をする場合において、不当な立場に立たされているかどうか、あるいはその立場に労働者(被雇用者)としての側面がどれほどあるのか、再確認・再検討しようとするものだと考えられる。

 第一回の検討会は8月4日に予定されているが、いまのところ芸能プロダクションに立入調査が行われた事実はない(あれば大きく報道されるはずだ)。「検討会」である以上、どのような判断がなされるかはまだわからない。

以下、記事
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichiromatsutani/20170804-00074118/