2020年東京五輪・パラリンピックは経費に関する都と大会組織委員会、国、都外自治体の役割分担が大枠で固まり、いよいよ本格的な準備へ向かう。組織委の森喜朗会長に展望を聞いた。

 −開幕まで3年、準備状況はどうか。
 役割分担の話で1年ほど遅れたのは痛かった。どうしたら心の底から喜べて、本当にいいお祭りだったと心に残る大会にできるかを考えていく。

 −目玉となる開閉会式の検討が始まった。
 あまり奇抜なことは狙わない方がいい。仮に歌舞伎、相撲でやっても世界の人は分からない。一番分かってくれるのは日本のアニメや漫画。ドラえもんやキティちゃん、鉄腕アトムもある。漫画大行進だ。そういうのがあってもいい。

 −若者を強く意識した新種目が採用された。
 革命的なこと。冬の五輪でも若者が遊びで始めたものが今や競技の中心だ。若者や子供がやることははねつけず、受け入れなくてはいけない。

 −東京臨海部を「アーバンクラスター」として観客のにぎわいを生む空間とする構想がある。
 東京大会は五輪公園がない。面白い考えだが、警備はどうなるのか。皆を自由に入れて、そこをテロに狙われたら大変な悲劇になる。何をどうできるか、どうしたら若者が喜ぶかを考えていく。


インタビューに答える2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=4日、東京都港区

 ◇小国の子供招待を
 −組織委トップとして温めているプランは。
 五輪・パラリンピックを開催できないような国・地域の子供たちを大会に招きたい。参加する200以上の国・地域のうち、大会を開催する力があるのは50〜60ぐらいだろう。100人ずつ呼んだら100カ国で1万人。各都道府県で受け入れて、日本で五輪を見て感動してもらいたい。

 −震災復興とパラリンピックの意義は。
 アスリートも被災地に行ってくれて、復興への関わりは自然にいい方向にいっている。被災者の心の傷は残るが、前向きになってもらうのが大会の役割。日本も障害者への意識が高まっている。パラリンピックは日本の子供のいい教科書だ。

 −日本全体をもっと大会に巻き込むために。
 国民総参加でできることはいくつかある。マスコットは小学校のクラスで議論して子供たちに選んでもらう。余っている携帯電話を集めてメダルを作ることも今までになかった取り組みだ。 

(2017/07/22-16:23) 
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017072200424&;g=spo