バレーボール全日本男子は7月12日から16日まで行われていた世界選手権のアジア予選を4戦全勝で終え、2大会ぶりの世界選手権の出場権を獲得した。東京五輪での躍進に期待がかかる日本は、経験を積める貴重な機会をつかんだ。チームを率いる中垣内祐一監督は、世界選手権8強進出を目標に掲げた。

今年度の最重要タスクを完遂

12日から行われた世界選手権アジア予選で、全日本男子バレーボールチームは全勝で出場権を獲得した。この「世界選手権の出場権をとる」ことは、今年度最も重要な目標として掲げられてきた。今季から指揮を執る中垣内祐一監督の去就についても、一気に先が見える展開となった。

ガイチジャパンは「いろいろなケチ」(中垣内監督談)がついてのスタートとなった。就任決定直後に人身事故を起こし、謹慎処分を受け、5月15日からの全日本チームとしての活動は、フィリップブランコーチを監督代行として始まった。

2013年に行われた前回の予選では、韓国に負けて出場権を逸した。このときの監督は、全日本バレー史上初の外国人監督であるゲーリー・サトウ氏であった。日本男子はこれまで、1960年に初めて参加して以来、ずっと出場し続けてきた。その記録が止まったことを、日本バレーボール協会は重く見た。続いて行われたグランドチャンピオンズカップが全敗に終わり、ほどなくしてサトウ氏は解任されたのである。サトウ氏は前述の通り男女あわせて全日本史上初の外国人監督として鳴り物入りで「リオ五輪まで」という契約で就任した。それをわずか1年足らずで更迭したわけで、そうであるならば中垣内監督が出場権を逃したら、どうなったかはいうまでもないだろう。

ワールドリーグはグループ2を準優勝で終わり、12チーム中11位で終わった昨年と比べれば見違えるほど成績は向上した。続く世界選手権予選も全勝で首位通過。鳥羽賢二強化事業本部長以下、全日本男子スタッフはひとまず胸をなで下ろしているに違いない。

今大会は、5チームずつを2グループに分けて、それぞれ上位2チームが出場権を得られる規定。日本が戦ったBグループは、オーストラリア、台湾、ニュージーランド、タイの5国。ランキング的にも実力的にも、ワールドリーグで2勝1敗のオーストラリアが一番の強国で、あとは格下といってもよい。「普通にやればいい結果がついてくる」(柳田将洋)と臨んだ全日本だが、初戦は少し緊張もあった。ストレートで勝利したが、3セットとも25-19で、中垣内監督は「もっと(点差を)離したかったが、固さが見られたためにそれがかなわなかった」とコメント。柳田も「初戦ということで僕自身も少し固かったし、チームももっと抜け出せるはずのところで出られない場面もあった。僕にとって初戦というものは、リーグにせよトーナメントにせよ常にいつも固くなるので、ある意味いつも通り。明日から上げていきます」と奮起を誓っていた。

ニュージーランド戦は、途中から柳田やセッター藤井直伸を下げ、オポジットも大竹壱青に代えて本来ミドルブロッカーの出耒田敬で通した。それでも大差で圧勝。続くタイ戦では、柳田のサーブが火を噴いた。「ワールドリーグでは、打てば入るという感じ」だったというが、今大会ではやや湿りがちだったサーブでタイのレシーバー陣を崩し、8連続ブレイク(サーブ権があるときに得点すること)したりした。柳田はこの日15得点でベストスコアラーになっている。

タイにはストレートで勝利し、翌日のタイvs台湾戦で、タイが1セットでもとれば、続く日本vsオーストラリア戦を待たずして出場権が獲れるところまできた。しかし、もう出場権のなくなったタイと、まだ目のあった台湾ではモチベーションが全く違った。台湾は1セットも落とすことなく勝利し、切符は次のオーストラリア戦に持ち越されることとなった。もしこの試合で1セットでもとれれば、その時点で日本戦のない最終日を迎える前に切符は獲得できる。ストレートで負けて、台湾が最終日オーストラリアに勝てば、3国が1敗で並んで得点率までもつれることになる。

大一番で見せた思い切った采配

続きはソースで
https://victorysportsnews.com/articles/4716