取材で野球部におじゃますると、いつも監督さんに尋ねることがある。

チームで1番の「野球小僧」は誰ですか? 
すると、たいていの監督さんはとても嬉しそうな顔になって、

「野球小僧ですか……? うーん、誰かなぁ……」
と、一度頭の中に何人かの顔が浮かんでいる顔になってから、うん、あいつしかいないな! と1人に決めた顔になり、ある選手の名前を挙げてくれる。

どんなふうに野球小僧なんですか? 
さらにその“人間像”を具体的に訊きたくてそう尋ねると、監督さん、今度は足を組み直したりなんかしてから、

「あいつはですねぇ……」
そんなふうに語り始める時の監督さんの顔を見ていると、いつもそういう顔でグラウンドにいれば、選手たち、もっと上手くなるんじゃないのかなぁ、などと、“大きなお世話”なことを考えてしまったりするのである。

「あいつはねぇ、とにかく野球が好き。毎日、いちばん最初にグラウンドに出てきて、いちばん最後までグラウンドにいる。ジッとしている瞬間がないですよ。いっつも何かしている。感心しますね」
確かにそういうのも十分野球小僧なのだが、実は私はそういうとき、いつもちょっと違った“野球小僧”を期待したりしている。

練習は一生懸命やる、しかし……。
 
5、6年前ぐらいだったか。
これは、別に不名誉な話ではないので、お名前を明かしてもよいだろうが、横浜隼人高(神奈川)の水谷哲也監督と話していた時に、こんなことがあった。

「私は子供の頃から、プロ野球12球団の選手の名前から、背番号から、出身校から、身長・体重、右投げか左投げ……もう全部覚えてましたよ。
愛読書、プロ野球選手名鑑。ヒマさえあればいっつも眺めて、もうずっと高校生になっても毎年すっかり暗記して、まわりから“歩く選手名鑑”とか言われてましたから」
愉快そうにそんなふり返りをされてから、

「でも今の子って、そういうヤツ、ぜんぜんいなくなりましたね。一生懸命練習するっていうのは、自分たちの頃よりずっと一生懸命やってると思いますよ。でも、そういう意味の、“虫”みたいなヤツね……いなくなりましたよねぇ」
ひどくさみしそうにおっしゃった。

■「最近の子たちは、テレビで野球を見ないんです」
 
実はこの私も中学生ぐらいまでは、その“歩く選手名鑑”だったので、まったくその通り! と、ひどく共感したものだった。
そこまでではないにしても、高校に進んでもなお野球を続けようという球児たちなら、そこそこ野球どっぷりの生活を送っているのかと思っていたら、実はそうでもないらしい。

「最近の子たちは、テレビで野球を見ないんです」
そんな指導者の方たちの嘆きばかりが聞こえてくる。

今は、地上波ではプロ野球はめったに放送がないが、その肩代わりをBS各局が放送してくれて、さらにケーブルテレビを使えば、プロ野球の全試合を見ることもできる。
球児たちがテレビで野球と接する環境は、以前よりずっと整っている。

7/19(水) 7:01配信 NUMBER  一部抜粋
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170719-00828487-number-base

2017/07/19(水) 08:41:57.48
http://hayabusa9.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1500421317/