船越英一郎の紙の手紙や手帳、あるいは(現像された)写真を松居一代が無断で
持ち出した本件を検証します。
本件の様態は、住居侵入、窃盗、文書毀棄罪等の犯罪に該当する可能性が高いです。
持ってくる時に、別居している船越英一郎の住居に不正に松居一代が侵入したという
事実から、それ自体が住居侵入罪になります(刑法130条)。
また、松居一代が無断で持ってきたということが、窃盗罪または使用文書等毀棄罪に
該当することになります(刑法235条,259条)。
松居一代の手紙などの証拠収集の方法が犯罪に該当するので、民事訴訟にも影響があり
ます。松居一代は証拠として使えないということにつながる可能性が高いのです。
松居一代の行為が犯罪に該当する→松居一代の行為が社会通念からの逸脱が激しい→松居
一代の行為は違法性が高い→松居一代の行為で証拠能力が否定される、という傾向です。
民事訴訟上の証拠能力も刑事責任も本質・根底は社会通念からの逸脱の程度(=違法性)
が基準となっています。「松居一代に手紙を違法に見られ所持保管された」ので、民事的
な責任も松居一代に生じます。松居一代への慰謝料請求という形になります。
一般的に違法の程度は、刑事よりも民事のほうが低いのです。
松居一代の民事上(不法行為)の違法性が認められれば、松居一代の不法行為として損害賠償
請求が認められることになります。
一般的には、船越英一郎の精神的な苦痛が損害の内容ということになります。
いわゆる慰謝料です(民法710条,709条)。