>>1の続き

時代は変わり、今度は38歳にして十両に落ちてきた安美錦と、貴乃花の弟子が対戦する…。なんてストーリーのある取組でしょうか。ここで貴源治が勝てば、いやが上にも“世代交代”の印象が強くなります。

果たして、戦略家の安美錦がどんな作戦を立ててくるのか…。私も固唾(かたず)をのんで見守っていたんですが、なんと、安美錦は真っ向からぶつかっていったんです!

そして、押しつ押されつの末に、最後は土俵際で逆転の下手投げ。安美錦としてはとても珍しい取り口でした。ただ、実は春の巡業でも貴源治を指名して稽古していたので、これも安美錦らしい研究の成果だったんじゃないかな、と私は推測しています。

これで勢いをつけた安美錦は、千秋楽で錦木(にしきぎ)と優勝を争います。この取組に勝てば、史上最年長の十両優勝。しかし、取組では一度は安美錦に軍配が上がったものの、物言いがついて取り直しとなり、健闘むなしく錦木に敗れてしまいました。五月場所の十両戦線は、最後まで混戦に次ぐ混戦でした。

ちなみに、幕下は36歳のベテラン、大岩戸が戦後最年長で優勝。幕内は白鵬が優勝を飾ったので、全体的にベテランの活躍が目立ちましたね。今、相撲界は世代交代の時期といわれていて、若手の台頭が著しいです。

しかし、五月場所はベテラン勢が世代交代に待ったをかけた形。名古屋場所はどうなるのか? 世代と世代がぶつかり合う今の大相撲、とっても面白いです!

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、報道情報番組『ユアタイム』(フジテレビ)でメインMCを務める。今場所の市川的珍プレー好プレー大賞は、千代丸vs大砂嵐の「鼻血待った」