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◆以前と比べて活動を減らした子役も

 鈴木福くんは、ドラマ『サヨナラ、えなりくん』(テレビ朝日系)の最終回に出演したほか、秋には朝ドラ『わろてんか』(NHK)、映画『ミックス。』に出演予定など順風満帆。バラエティー番組も『世界で働くお父さん』(テレビ東京系)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)に出演するなど、学校の合い間を縫ってペースを守りながら活動している様子がうかがえます。

 福くんと同じ事務所で、ユニット「すたーふらわー」として活動していた谷花音ちゃんと小林星蘭ちゃんは対照的な活動ぶり。花音ちゃんがアニメ映画『夜明け告げるルーのうた』で声優を務め、秋には映画『ミックス。』に出演予定のほか、『KinKi Kidsのブンブブーン』(フジテレビ系)、『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)などのバラエティー番組に出演する一方、星蘭ちゃんはこれといった出演作はないようで、今後の予定も発表していません。

 ただ、星蘭ちゃんは毎日のようにブログを更新しているので、「勉強に力を入れつつ、出来る範囲で芸能活動をしていく」というスタンスではないでしょうか。「長い人生を考えたら普通の中学生としての生活させておいたほうがいい」「将来、大人の女優として活動するときに、そこで得た教養や経験が役に立つ」と考えるスタッフも多く、本人の意志を尊重しながら芸能活動のペースを決めるという方針の子役も少なくないようです。

 つまり、愛菜ちゃん世代の6人は、数の多少こそあれ、「全員芸能活動を続けている」ということ。『崖の上のポニョ』で人気者になった大橋のぞみさんのように「中学校入学を機に引退」という道を選ばなかったのです。

 もともと、成長して顔やスタイルが変わる中学生は、子役としての過渡期。演じられる役柄の幅がせまい中学生子役はチャンスに恵まれにくく、身長が伸びたことや声変わりを理由に引退する子役もよく見かけます。

 さらに、近年は学園ドラマが減るなど、ますます活躍の場が減り、ネットの発達で「劣化した」という心ない声が浴びせられるなど、ますます子役を続けていくことが困難になっているのです。

◆期待される中学生役での共演

 とは言え、愛菜ちゃん世代は過去に例のない逸材ぞろいだけに、演じる機会はこれまでの子役以上に多いはずです。そこで期待されるのは、愛菜ちゃん世代の共演。小学生時代には、『マルモのおきて』(フジテレビ系)で愛菜ちゃん、福くん、望結ちゃん、『コドモ警察』(TBS系)で福くんと望結ちゃん、『名前をなくした女神』(フジテレビ系)で花音ちゃんと星蘭ちゃん、『一休さん』(フジテレビ系)で福くんと星蘭ちゃん、『さよならぼくたちのようちえん』(日本テレビ系)で愛菜ちゃんと望結ちゃんが共演しました。ぜひ子役の期間である中学生のうちに、等身大の中学生役で、再度の共演を実現させてほしいところです。

 愛菜ちゃんが『Mother』(日本テレビ系)の熱演でブレイクしたのは2010年の春。それから7年になりますが、それぞれの道を歩みながら芸能活動を続けている愛菜ちゃん世代が子役としての残り3年間をどう過ごすのか。その成長ぶりにこれまで同様の注目が集まるでしょう。

 野球の斎藤佑樹投手が甲子園で活躍したあと、マスコミや世間の人々は同世代のスター選手たちを“ハンカチ世代”と呼んでいました。その後、田中将大投手の活躍で“マー君世代”と呼び方が変わりましたが、このまま“愛菜ちゃん世代”というイメージが続くのか。それとも別の誰かが台頭して“〇〇世代”変わるのか。

 いずれにしてもこの6人なら、刺激を与え合って切磋琢磨していくでしょうし、安達祐実さん、井上真央さん、神木隆之介さん、志田未来さんらのように大人の演技を身につけ、子役出身俳優のステータスを上げてくれるのではないかと期待しています。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。