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1976年4月16日、宿舎に帰る巨人選手の乗ったバスが、試合中の判定トラブルから広島のファン500人に包囲された際、
広島ファンが「張本にバットで殴られた」と騒ぎ立てた事件である。
張本がセ・リーグの巨人に移籍して最初の広島遠征だった日で、張本は広島ファンに目の敵にされ、民族蔑視的なヤジを集中的に浴びた。
6-4と広島リードの9回表に巨人が1点を返し、なお二死二塁から山本功児がヒットを放ち、同点と思われたが、山本浩二の好返球と水沼四郎の好ブロックで
二塁ランナー土井正三が本塁タッチアウトになった。判定に長嶋監督以下、巨人ナインが審判に詰め寄り猛抗議を繰り広げた。
それに怒った広島ファン500人が巨人の帰りのバスを取り囲んだ。広島ファンは口々に「張本あやまれ!」と連呼。
広島出身の張本が巨人に移籍したのを快く思わないファンも多く、張本が特に標的にされ、バスに乗り込む際に暴漢が張本を襲った。
相手を避けるために張本がバットで払いのけたとき、暴漢の頭が割れて血が出た。すると周囲のファンが「張本にやられた」と騒ぎ始めた。
張本は傷害容疑で事情聴取されたが、「やったのは自分じゃないと言いはった」。後に暴漢が張本の頭を叩く場面を偶然撮影した写真が出て張本の嫌疑は晴れた。
しかし疑われたときに出た山のような報道に比べると真実を伝える記事はごく僅かだった。
この事件で張本が最もショックを受けたのは広島の民団の幹部が「やったんだから、手錠をかけて刑務所へ連れていけ」と発言したことだった。