ロシアで開催されているコンフェデレーションズカップは、グループリーグの戦いが終了。
準決勝の対戦は、ポルトガル対チリ、ドイツ対メキシコに決まった。しかし、4強以上に目を引いたのがアジアの代表、オーストラリアの戦いぶりだった。

ドイツ戦2−3、カメルーン戦1−1、チリ戦1−1。ドイツは今大会、メンバーを落として臨んできているとはいえ、3年前の世界チャンピオンだ。
チリもコパアメリカ2連覇中で、FIFAランキングは現在4位。W杯でもベスト8、ベスト4を狙おうかとの勢いにある南米の雄である。それらに対して、臆することなく敢然と立ち向かっていったその敢闘精神だけでも称賛に値する。

そして試合内容も、考えられる限りにおいて最高のものだった。とりわけチリと引き分けた第3戦は、勝っていてもおかしくない、番狂わせ寸前の惜しい試合だった。世界に存在感を強烈にアピールした。
チリ代表は南米にあっては小柄な方で、サッカー的にも高い規律がある。ザックリ言えば、日本に近いが、日本よりだいぶ強い。好チーム度という点でも大きく上回っている。まさにお手本にすべき国だ。

オーストラリアはそんなチリに対して、軽くひねられるに違いない。柔よく剛を制するではないが、その大きな身体の脆さを突かれ、チリに切り裂かれてしまうのではないか。
8月31日にオーストラリアとの決戦を控えている日本のファンは、チリに半分肩入れしながら観戦に及んだ人も多いはずだ。

オーストラリアがチリを追い込む姿は、それだけにインパクトがあった。衝撃的な映像として目に飛び込んできた。日本ならやられているに違いないと、悲観的になった人は少なくないだろう。

昨年10月、日本がメルボルンで対戦(結果は1−1)したときより、数段強くなっている印象だ。メンバー的にはそれほど大きな変化はないものの、サッカーの中身はより前向き、より攻撃的にガラリと一変していた。
後ろで構えるイメージは薄れ、前からプレッシャーをかけるスタイルに、だ。

小柄なチリの選手に大きな選手が襲いかかるようにプレスを掛ける姿。これは正直、怖い。狩猟民族に集団で襲われ、その餌食になる獲物の姿を想起させた。
元大英帝国ながら、オーストラリアはイングランドというより北欧のサッカーに近い。例えばスウェーデンだ。

フース・ヒディンクが監督を務めた2006年当時は、パスワークに優れたデンマーク的な匂いもしたが、基本的にはスクエアな4−4−2からブロックを作って手堅く攻める。
大崩れしない安定感と、その高身長からくり出される空中戦こそ、日本の苦手とするスタイルだった。オーストラリアに過去、W杯予選で1度も勝てていない理由でもある。

>>2以降につづく

Sportiva 6/27(火) 18:05配信 
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/wfootball/2017/06/27/post_88/