現役最強馬に何があったのか!? 
GI・3連勝を狙った第58回宝塚記念(25日=阪神芝内2200メートル)で単オッズ1・4倍の断然人気に支持されたキタサンブラック(牡5・清水久)はまさかの9着大敗。

ダービー以外は一度も崩れることなく快進撃を続けてきた日本のエースの突然の失速に、北島三郎オーナーは凱旋門賞挑戦断念と、今秋は国内に専念することを明言した。
謎の凡走の理由、併せて同馬の今後も検証する。

まさかの結末だ。
圧倒的1番人気に支持されたキタサンブラックは直線で全く伸びず9着にごう沈した。

ここまで崩れたのはダービー(14着)以来2度目。
今年の天皇賞・春でディープインパクトのレコードを更新したほどの名馬が、どうしてここまで負けたのか?

「走らなかったですね。正直、分からない」

引き揚げてきた武豊は、ただただ首をかしげるばかり。
稍重を敗因に挙げる声もあったが「馬場は大丈夫だったし、そもそもそんなに悪くなかった」。

シュヴァルグランが予想外の逃げを打つ展開についても「レースの進め方は悪くなかった。
状態も決して悪くなかったし、不利もなかった」ときっぱり。

実際、今年の宝塚記念の1000メートル通過タイムは60秒6。
昨年(同じ稍重)、これより1秒5も速いペースで逃げて3着に粘り込んだキタサンブラックが、この流れで失速することは到底考えられない。

清水久調教師も敗因の特定できない凡走に自問自答を繰り返した。

「返し馬もいつも通りの雰囲気だったし、いつもとそんなに変わらないように見えた。
ちょっと3コーナー前で1頭に突っかかられる場面はあったけど、それであれだけ負ける馬じゃないからね。
直線を向いてなぜ来ないのか分からなかった。
いい状態で迎えられたと思ったんですけど…。難しいですね、競馬は」

ただ、スタート直後のキタサンブラックの走りについては「テンの行きっぷりがいつもの感じじゃなかった。今までならビュンといく馬なのに」と、かすかな違和感を感じたそうだ。
これは戦前に「今回は自分からノッていくというか、内面からにじみ出てくるものがないんです。こういうことは今まで初めてで…」と担当の辻田厩務員が語っていた違和感とつながるもの。

今回のキタサンブラックが気持ちの面で普段と違っていた可能性は捨て切れない。
会見に臨んだ北島三郎オーナーは「これが勝負の世界。運がなかった。
馬っぷりは良かったし、一生懸命に走ってくれた。
脚元も体調も変わっていないという連絡を聞いてホッとしているところです。
前走(天皇賞・春=1着)も走っているし、その前(大阪杯)も勝たせてくれた。
今回は疲れてると、俺に言いたかったんじゃないのかなぁ」と愛馬をねぎらった。

今後のプランについては「ファンの皆さんには期待してもらっていたけど、外国はちょっと考えさせてもらいたい」と10・1凱旋門賞には向かわない意向。
そのうえで今秋は「天皇賞(10月29日=東京芝2000メートル)を目標にとは思ったりしています。
ただ、今年はよく頑張ってくれているのであまり無理はさせたくない。いい状態なら使いたい。
最後の有馬記念(12月24日=中山芝内2500メートル)には頑張って使いたい」と見通しを語った。

今年前半のGI・3連戦、最後はあっけない惨敗で終わったキタサンブラックだが、これまでに見せた圧倒的なパフォーマンスは現役最強を証明するに十分なもの。
夏場はしっかりと休養し、再びその豪快な走りでターフを沸かせてくれる日を心待ちにしたい。

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