女優を使って松竹に痛撃を与えることに成功した東映はまだまだ手を緩めなかった。
松竹のプライドを傷つけるべく、次なるターゲットを選びだした。
それは往年の松竹スター、佐田啓二の遺児で中井貴恵。
松竹の大監督、木下恵介に芸名を付けてもらいデビューした中井に東映はそんな彼女に
オールスターやくざ映画で日本の首領の娘を演じさせる。ここで東映は彼女に軽いベッド
シーンをやらせたのだが、この背後にはさらなる策略が隠されていた。

東映は自社のエース監督三人が作る文芸大作への出演依頼を中井貴恵に行う。
出演シーンの担当が前作の中島貞夫監督ということもあり、彼女は出演を承諾。
しかしその監督はデビュー作から女優を脱がせ屋だったのだ。
殺し文句は「君が脱がなければ監督を辞める」

中井貴恵もこの言葉で脱ぐ決意をする。
東映が長きに渡る松竹への怨みを晴らす時がやってきた。
東映は濡れ場の相手は松方弘樹。大スターだが、彼は前貼りをつけない豪傑。
初めて脱ぐお嬢様二世女優の気配りはこれっぽっちもない。

作品を見た松竹関係者は「佐田さんのお嬢さんになんてことさせたんだ!」と激怒し、
慌てて自社の映画に中井喜恵を起用するが、東映のつけた“脱ぎ女優”のイメージを
払拭することが出来なかった。東映は藤純子を奪われた時の怨みを晴らしたのだった。