Jリーグとスペインのプロサッカーリーグ、ラ・リーガとの間で戦略的連携協定が22日に締結され、Jリーグの村井満チェアマン、ラ・リーガのハビエル・テバス会長による調印式が都内で行われた。

 Jリーグが海外のプロリーグとパートナーシップ協定を結ぶのは、オーストラリア・Aリーグなど11例目で、ヨーロッパでは初めて。ラ・リーガにとっても、Jリーグがアジアでは初めての提携リーグとなる。

 まだ記憶に新しいレアル・マドリードの戴冠を含めて、4シーズン連続でUEFAチャンピオンズリーグ王者を輩出している、世界トップクラスのラ・リーガと結んだ協定の内容は下記の4つとなる。

(1)両国トップチームの交流
(2)テクニカル及び女子サッカーを含めた育成
(3)インテグリティ(高潔さや品位)
(4)クラブマネジメント及びリーグ運営

 このうち(1)については、終わったばかりの2016‐17シーズンで4位に入ったセビージャが来日し、7月22日に鹿島アントラーズと対戦する『WORLD CHALLENGE 2017』がすでに決まっている。

 セビージャは同17日にはセレッソ大阪と『StubHub ワールドマッチ2017』で対戦することも決定済みで、村井チェアマンも「トップ同士が真剣勝負をする機会を増やしていきたい」と今後の展望を語った。

 もっとも、4つの項目のなかでJリーグが最も大きな期待を寄せているのは、(2)の育成となるだろう。調印式後の記者会見で、村井チェアマンはこんな言葉を残している。

「ラ・リーガでは、トップチームの登録選手25名枠の6割ぐらいが下部組織から上がっている。ホームグロウンが制度化されていないなかで、ここまで下部組織出身の選手がトップチームに輩出されている。これは日本が学ばなければいけない点だと思っています」

 村井チェアマンが言及したホームグロウン制度とは、外国人枠のないプレミアリーグやブンデスリーガなどで導入されている、自国やそれぞれのクラブのホームタウン出身の若手を登録することが義務づけられた制度だ。
 たとえばブンデスリーガでは、各クラブはドイツ国籍を有する12人以上の選手と契約し、そのうち6人以上が各クラブのユースで育成された選手であることが定められている。

 対照的にラ・リーガでは、ホームグロウンが制度化されていない。EU圏外選手枠は「3」と定められているものの、5年居住すれば市民権が得られるため、二重国籍が可能な南米出身選手はEU圏外選手枠から外れることも少なくない。

 それでもレアル・マドリードやバルセロナの2強だけでなく、中堅や規模の小さなクラブも自前で優秀な選手を育てている。同様にホームグロウン制度を導入していないJリーグにとっても大いに参考になるはずだが、もうひとつ、決して看過できない現実も突きつけられていた。

つづく

6/23(金) 5:00配信  THE page
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