【日本】君が代は 千代に八千代にさざれ石の いはほとなりて 苔のむすまで
 【中国】立て 奴隷となるな 血と肉もて 築かんよき国 立て!立て!立て!心あわせ 敵にあたらん 進め敵にあたらん 進め 進め 進め進めよや
 【フランス】ゆけ祖国の国民 時こそ至るれり正義のわれらに 旗はひるがえる 旗はひるがえる 聞かずや野に山に 敵の呼ぶを悪魔の如く 敵は血に飢えたり 立て国民 いざ矛とれ 進め進め仇なす敵を葬らん
 アメリカやイギリスの国歌についても調べてみてください。
 さて、皆さんどうお感じになりましたか。血と肉を持てとか、血に飢えた敵とか、実に戦闘的で品格なき国歌ばかりだと思われたことでしょう。日本の国歌「君が代」は和の国=日本にピッタリだと思われたことでしょう。
 「君が代」はドイツでの世界国歌評定会で第1位の秀歌に選定されている。歌詞は今から約1100年前、醍醐天皇が紀貫之らに命じて編集させた日本最古の歌集である『古今和歌集』の巻第七、賀歌の部の第三四三番にある
「我が君は千世にやちよにさざれいしのいはほとなりて苔のむすまで」がルーツとされている。
 詠み人知らずの歌で、日本古来の雅楽の旋律を取り入れて現在の曲となったのである。長寿を願うお祝いの歌として愛唱された歴史もある。
ソチ五輪で金メダルを獲得し、日の丸を手に笑顔の羽生結弦選手。日の丸も君が代も世界に誇れる(http://www.sankei.com/west/photos/141122/wst1411220004-p1.html
「君が代」は世界一の秀歌「君が代」が国歌になる経緯を書けば長くなるので端折るが、1870(明治3)年、イギリス公使から国歌があった方がいいと進言され、歌詞の選定を一任されていた薩摩藩士歩兵隊長、大山巖が古今和歌集の中から採用した。
明治15年、文部省は国歌として制定したのである。青渓書院で学び、但馬の先人として知られている文部省参事官を務めた浜尾新もこれに参画している。
 ところがこんな由緒あるきれいな歌が、軍国主義の復活につながるとして、学校の卒業式などで歌われなかった時期があったのをご存じでしようか。東京都の公立高校の卒業式で、起立もせず、歌も歌わなかった教員が懲戒処分されたのは、数年前のことである。
 但馬のある中学校長に「卒業式で国歌斉唱をしていますか」と尋ねたら、「“君が代は…”の部分が気に入りません。“我らが世は…”となっていたら歌わせたのですが…」と話されたのを忘れない。
 ついでながら小学生の頃、日本の旗が世界で一番きれいな国旗だと思った。
■足立勝美(あだち・かつみ) 兵庫県立高校教諭、県立「但馬文教府」の長、豊岡高校長などを務め、平成10年に退職。24年、瑞宝小綬章受章。『教育の座標軸』など著書多数。個人通信「座標」をホームページで発信。養父市八鹿町在住。
鳥取大農学部卒。76歳。