テレビのバラエティ番組が視聴率をとれなくなっている。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)が20%超えを達成する程度で、
15%超えの番組は週に3本程度。12%をとれば、週間ベストテンに入れてしまう。このような現状について、テレビ局関係者が語る。

「15年前なら、ゴールデン帯で12%では打ち切りの対象になっていました。しかし、今は2ケタとれれば特別な事情でもない限り、番組が終了することはありません。
1ケタでも、『そのうち結果が出るかもしれないから』と1年半くらい存続するケースもあります。バラエティに限ったことではありませんが、視聴率のとれない時代になっています」(テレビ局関係者)

だからといって、新しいことをしようという気概のある番組はほとんど見当たらない。もう何度も観たような、バブル時代を振り返るトーク番組も目立っている。

「結局、10代や20代がテレビを観ていないし、仮にティーン層だけに支持されても、人口が少ないので高視聴率にはならないのです。
M2(男性35〜49歳)やF2(女性35〜49歳)、M3(男性50歳以上)やF3(女性50歳以上)に観てもらわないと、数字には反映されない。

そうなると、バブル時代の話は手っ取り早くてわかりやすいし、『あの頃はよかった』となつかしい気持ちに浸れる。
だから、中高年層にとって知名度があり、当時のギャラや裏話をしてくれるタレントが重宝されるようになっています」(同)

限られた予算を、大掛かりなロケに回すのではなく、「高視聴率が狙えるタレントを何人呼ぶか」に費やしているようにも見える。
実際、タレント主導の番組がゴールデン帯を占めている現実もあるという。

「制作側からすれば、そのほうが楽といえば楽。タレントに任せていれば、番組がほとんど成立してしまいますから。
でも、それでは制作陣が育っていかない。やはり、ディレクターはおもしろいVTRをつくることができてナンボ。
そういう経験に乏しいディレクターは、自分の中にノウハウがないまま年齢だけを重ねていってしまうわけです。

これは、若手が悪いというより上の人間が冒険をしたがらないという面もあります。現状維持は退化につながっていることを、よくわかっていないともいえるでしょう」(同)

確かに『イッテQ!』や『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)といった人気番組は、大掛かりなロケに挑んで視聴者の興味をそそっている。
制作陣が汗をかかないと高視聴率は望めないということは、結果が証明しているといえる。バブル時代を振り返ってばかりでは、テレビに明るい未来はやってこない。

(文=編集部)

Business Journal / 2017年6月15日 20時0分
https://news.infoseek.co.jp/article/businessjournal_345311/