大迫勇也のゴールで先制したイラク戦は十分に勝てるチャンスがあった。それだけに、日本にとっては失望感を拭えないドローだ。アウェーで勝点1を積み上げたとはいえ、残り2試合の相手はオーストラリアとサウジアラビアである。決して楽観視できない。
 
・グループBの上位3か国の順位表(6月13日現在)

1位 日本 勝点17/5勝2分け1敗/15得点・6失点/得失点差+9
2位 サウジアラビア 勝点16/5勝1分け2敗/15得点・8失点/得失点差+7
3位 オーストラリア 勝点16/4勝4分け0敗/14得点・8失点/得失点差+6
※消化試合はいずれも8試合。
 
 このように、アジア最終予選のグループBは三つ巴の戦いとなっており、日本が2位以内を確保するには次のオーストラリア戦で引き分けさえ許されない状況なのだ。もちろん、オーストラリア戦をドローで終えても勝ち抜けのチャンスはある。ただ、最終節はアウェーのサウジアラビア戦。9月のサウジアラビアは気候的にも厳しいため、日本としてはできれば最終節まで引っ張りたくない。
 
・上位3か国の今後の予定
1位 日本
2017年8月31日 vsオーストラリア(ホーム)
2017年9月5日 vsサウジアラビア(アウェー)
 
2位 サウジアラビア
2017年8月31日 vsUAE(アウェー)
2017年9月5日 vs日本(ホーム)
 
3位 オーストラリア
2017年8月31日 vs日本(アウェー)
2017年9月5日 vsタイ(ホーム)
 
 残り2試合、対戦相手だけで判断すればもっとも厳しいのが日本。サウジアラビアはアウェーとはいえUAE、オーストラリアはタイといずれも下位グループとの対戦を残しているのは多少なりともアドバンテージだ。
 
 次節、日本はホームでオーストラリアを下せば6大会連続のワールドカップ出場が決まるが、裏を返せばオーストラリアに引き分けるか黒星で予選敗退の危機に瀕するのだ。
 
 例えば、次節、日本がオーストラリアにドロー、そしてサウジアラビアがUAEを下すと、上位3か国の勝点はサウジアラビアが「19」、日本が「18」、オーストラリアが「17」となる。続く最終節でオーストラリアがタイを破ると想定すれば……。日本はサウジアラビアに勝たないといけなくなる。これは極めて困難なミッションと言わざるを得ない。

「もう1試合あるから」が命取りになる。

 怖いのは、「オーストラリアに勝てなくても次がある」という楽観的なスタンスだ。
 
 14年ワールドカップの本大会を振り返ると、日本はコートジボワールとの初戦に敗れたにもかかわらず、続くギリシャ戦で勝ちにこだわらなかった(その証拠に交代枠をひとつ使わなかった)。言ってみれば、このギリシャ戦のドローは「もう1試合あるから」という甘さが招いた結果だった。結局、日本はグループリーグ最終戦でコロンビアに惨敗(1−4)してブラジルの地を去ることになる。
 
 ここぞという大一番で何度も甘さを露呈してきた日本だけに、次のオーストラリア戦で躓く可能性は十分ある。本田圭佑はイラク戦後、「中途半端に次の試合が引き分けでOKというよりはクリアになって良かったのかなと」とコメントしているが、果たしてどうなるか……。
 
 今予選のオーストラリアはここまで8戦無敗。そのオーストラリアに日本はワールドカップの予選で一度も勝ったことがない。こうした相性の悪さを踏まえても、8月31日のホームゲームに向けて楽観はできないだろう。
 
 今のハリルジャパンは正直、勝負強いとは言い切れない。イラク戦のパフォーマンスだけで判断するかぎり、暑さにも苦しめられるだろう次のオーストラリア戦で勝点3を掴めるとは……。ちらつくのは“地獄のサウジ戦”だ。

サッカーダイジェスト 6/14(水) 6:30
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