【No Ball,NO Life】韓国で開催されていたU−20(20歳以下)W杯は11日に閉幕。イングランドがベネズエラを1−0で下し、初優勝を決めた。今大会最大のサプライズは2度目の出場で一気に準優勝まで上り詰めたベネズエラだろう。

 5大会ぶりにU−20W杯出場権を獲得した日本も決勝トーナメント(T)1回戦で、延長戦までもつれ込んだ末にベネズエラに屈した。

 ベネズエラといえば、いわずと知れた野球大国。プロ野球DeNAを率いるアレックス・ラミレス監督(42)ら日本球界で活躍する助っ人はもちろん、サイ・ヤング賞投手のフェリックス・ヘルナンデス(31)=マリナーズ=や三冠王のミゲル・カブレラ内野手(34)=タイガース=といった米大リーグのスター選手を数多く輩出している。

 対照的にサッカーでは、南米10カ国のうち唯一W杯本大会出場経験がなく、ベネズエラは南米再弱国のレッテルを貼られ続けてきた。

 大リーグを担当していた2014年。ブラジルW杯で米国代表が16強入りしたこともあって、当時のメジャー球団のクラブハウスではサッカーの話題が出ることが多かった。当時、ロイヤルズで青木宣親外野手(35)=現アストロズ=とチームメートだったサルバドール・ペレス捕手(27)やアルシデス・エスコバル内野手(30)らは本大会に出てもいないのに、えんじ色のサッカー・ベネズエラ代表のユニホームを着ていた。

 「いま、ベネズエラではサッカーの人気がすごいんだ。まだ結果が出ていないけど、この調子なら、いつかW杯に出る日がくると信じているよ」。ペレスは当時から、ベネズエラのサッカーが躍進することを確信していた。

 実は、その当時からすでにベネズエラ国内のサッカー人口が、野球人口を上回っていたという。国際放送でスペイン・リーグなどが数多く中継されるようになり、サッカー人気の水準が他の南米諸国と同程度にまで上がったためだ。

 また、ある投手は、2013年に死去したウゴ・チャベス前大統領が熱心な野球ファンだったこともあり、反チャベス派の家庭では、子供に野球ではなくサッカーを習わせることが多かったこともサッカー人気が逆転した理由の一つに挙げた。

 「僕もサッカーが好きだし、変な危機感みたいなものはない。野球もサッカーも母国のチームが強くなればいい。子供たちが喜んでくれるなら、競技は何でもいい」

 いまやメジャーを代表する捕手の一人となったペレスは、サッカーでもベネズエラが強豪国になることを3年前から予言していた。(清水公和)

2017年6月13日 13時56分 サンケイスポーツ
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