サッカーJ3グルージャ盛岡の運営会社「いわてアスリートクラブ」(盛岡市)が、相次ぐ金銭トラブルに見舞われている。元副社長による運転資金の横領に続き、1年で退任した前監督が違約金の支払いを求めてクラブを提訴。本年度決算で赤字を計上した場合、リーグ参加資格を失う瀬戸際に立っている。
 元副社長による横領は昨年8月に発覚した。在任中にクラブの預金口座から約5000万円を着服し、自らが経営する別会社の借金返済に充てていたという。
 クラブ側の告訴を受けて岩手県警は今年5月18日、業務上横領容疑で元副社長を逮捕。クラブによると、2400万円は回収不能になっている。
 元副社長逮捕の1週間後、今度は昨シーズン1年限りで退任した前監督から訴状が届いた。2年契約のうち残り1年分の報酬約1080万円の支払いを求め、東京地裁に訴えを起こしたという。
 次にクラブを待ち受ける関門は、赤字体質からの脱却だ。J3は財務規定で3期連続で赤字となった場合、リーグへの参加資格が失われるとしているからだ。
 クラブは2015年度、約2010万円の当期純損失を計上した。16年度の損失は、横領発覚によるスポンサー離れや成績低迷による観客減少で約1億5780万円。回収不能債権を合わせた貸倒損失約3400万円も響いた。
 チーム存続にイエローカードを突き付けられた格好のグルージャ盛岡。クラブの宮野聡常務は「逮捕と提訴は想定内。事前にスポンサーへ説明していたので影響はない。むしろ今期は経営陣も新体制になり、チームの雰囲気と経営面の改善が進んでいる」と語る。

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