【古内義明の日本体育会紀行】秀岳館・鍛治舎巧監督(3)

3季連続甲子園ベスト4の秀岳館(熊本)を率いる鍛治舎巧監督(66)への直撃インタビュー最終回。強さの秘密は“食”にもあった。

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−−“鍛治舎野球”のビジョンは

「チームのモットーは『練習は日常生活なり』です。通常練習は14時から22時まで8時間。大事なのは1日24時間の中で、野球をやっていない16時間の過ごし方です。
学校の授業や寮での生活を、いかにしっかり送るかが大切。整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、さらにどうせやるならスマイルでやろうということで、“6S”を掲げています」

−−選手たちは体が大きく、体幹もしっかりしている印象を受ける

「部員99人全員が1日6食とっています。
例えば、朝はどんぶり飯で始まり、1時間目が終わったらおにぎり、昼食を挟み、18時に補食で大盛りカレーライス、20時に夕飯、最後は練習終了後に餅などで締めます」

−−選手の努力のあとを数値化している

「個人の目標を作るために、年3回スポーツテストを受けます。スイングスピード、30メートルダッシュ、立ち幅跳び、握力など20種目あり、全国トップクラスです。
やはり数値化することで頑張ります。現代っ子は他人と比べるより、自分と比べさせた方が努力する。過去の自分に勝つ、ちょっとした成功体験の積み重ねが選手を伸ばします」

−−就任時に「3年で日本一」と目標を掲げた

「中学野球(サラリーマン時代にオール枚方ボーイズの監督を務めた)では5冠を達成して完結したので、次は高校野球で完結するだけです。
昨年の春と夏、甲子園ベスト4で熊本に帰ってきたときは、地元の皆さんに『おめでとうございます』と声をかけられましたが、
今春もベスト4に終わると『夏こそは!』に変わった。野球を見る次元が変わった。この変化がうれしかった」

−−県外出身の選手が多いことで、県内で風当たりも強いのでは?

「僕は練習を非公開にはしません。県高野連主催の中学高校指導者講習会では練習内容や資料を全て隠さず出しました。
かつて熊本は県内で圧勝しても、甲子園では勝てなかった。いまは“秀岳館を倒せば甲子園でも勝てる”という雰囲気になってきました」

−−“鍛治舎野球”をひとことで言うと?

「“カラフル野球”です。すべての要素を持った総合力の高い選手が、どんな場面にも対応できる野球を目指しています。
熊本、そして九州全体のレベルを上げることが恩返しだと思っています」 =この項終わり

■鍛治舎巧(かじしゃ・たくみ) 1951年5月2日、岐阜県生まれ。県立岐阜商業から早稲田大学を経て松下電器(現パナソニック)で活躍。
現役引退後、NHKの高校野球解説者として人気を博した。サラリーマン生活40年で専務まで上り詰めた後、
2014年から秀岳館高校野球部監督。系列校の中九州短期大学副学長も務める。

■古内義明(ふるうち・よしあき) 1968年7月7日生まれ。立教大学法学部卒で在学中は体育会野球部所属。
ニューヨーク市立大学大学院スポーツ経営学修了後、米大リーグを取材・情報発信。
(株)マスターズスポーツマネジメント代表取締役で高校・大学球児向けフリーマガジン「サムライベースボール」発行人。
立教大学講師として「スポーツビジネス論」の教鞭を執る。著書に「メジャーの流儀」(大和書房)など。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170525-00000017-ykf-spo
夕刊フジ 5/25(木) 16:56配信

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