https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170521-00000053-sph-fight
竹原慎二氏が村田の敗因分析「手数が少なすぎた」
「最後まで倒す気持ちなければ」

スポーツ報知に特別寄稿した。村田が1―2の小差判定で敗れる結果に
「これは勝ちでしょ!? まさか負けるとは」と驚きを隠せなかった。
敗因については「手数が少なすぎた」と指摘し、「何があるか分からな
いのが世界戦。最後まで倒す気持ちでいってほしかった」と悔しがった。

 まさか、ビックリですよ、というのが、この世界戦の感想だ。僕の採点
では5ポイント差で村田に勝ちをつけたが、勝負というのは最後まで分
からないものだ。判定のアナウンスが出た瞬間は僕も驚いた。負けると
は…と。 ダウンを取った右ストレート、6回以降には徐々にボディー
も入り、有効打という点では村田が勝っていたが、2人のジャッジがエ
ンダムを支持したことを見ると、敗因はおそらく手数が少なすぎたこと
だろう。熱くならず、ガードを固めて冷静に戦い、逃げる相手にプレッ
シャーをかけていたが、2人のジャッジはそう見てくれなかった。

 4回以降、流れは村田にあったように見えた。しかし、ジャッジが割
れたように、見る人によっては印象は違うというのが採点競技の難しさ
だ。判定が出た瞬間の村田の表情を見ると勝ったと思ったのだろう。僕
が村田くんに勝ちをつけたように、自分で採点を判断してはいけないと
いうことだ。WBAルールでは12回が終わるまで採点結果は分からな
い。これがWBCの4回ごとの公開採点ルールだったら、違った展開に
なっていたのかも知れない。

 僕が96年6月24日にWBAの王座から陥落して22年。保住直孝、
佐藤幸治、淵上誠、石田順裕と多くの日本人がこの階級に挑んで敗れ、悔
しい思いをしてきた。僕を抜くなら村田しかいないだろうと思っていただ
けに残念だし、この最大のチャンスをものにできなかったことを非常にも
ったいないとも思った。僕は勢いで世界を取ったけど「敗けは死じゃ」と
いう強い気持ちがあった。その気持ちがあったかどうかは村田本人しか分
からない。ただ、終了ゴングが鳴るまで倒しに行くという気持ちがなけれ
ばいけないなと思ったのが正直な感想だ。僕の持論は「ボクシングは戦争」
だ。冷静さの中に熱さも欲しかった。

 五輪金メダリストという肩書、この1万人という大会場、そして森
(喜郎)さんや、吉田(沙保里)さん、室伏(広治)さんら素晴らしい
アスリートの顔もたくさん見て、背負うものが大きいなと感じた。

 (24戦無敗で世界を取った)僕は左目網膜剥離というどうにもなら
ないけががあったし、負けたら引退するという覚悟を決めてやった。た
だ、村田もおそらく不完全燃焼だろう。今後どうするか。環境的に自分
だけで決められないこともあると思うが、本人が自分の意志で決めて欲
しい。(元WBA世界ミドル級王者)