『歌』という通過儀礼を免除された現代の俳優(おとこ)たち。それによって気になるのが、『アイドル俳優』が割と早い段階から、いっぱしの『役者面(ヅラ)』をするようになったことです。キャーキャー言われてもはにかむだけで、協調性に乏しい間合いや口数は、『役者=ストイック』の特権なので文句は申しませんが、若者(アイドル)特有の迸(ほとばし)る覇気や眩しさが無さ過ぎ。妻夫木聡ぐらいからどうも様子がおかしい。今だと福士蒼汰、山崎賢人、岡田将生ら辺が若手筆頭株なのでしょうが、5年後にはみんな小栗旬みたいになっている気がしてなりません。松坂桃李、佐藤健も時間の問題かと。すでにかなりの危険ゾーンです。一方で、ひとりアイドル的立ち位置で気を吐く千葉雄大(28歳)の確信犯的存在は大変貴重ですし、ずっと鶏がらスープを作り続けている向井理のもどかしさも味わい深いものがあります。

 そんな『アイドル俳優』たちの役者化に市民権を与えたのは、紛れもなく岡田准一ではないでしょうか。だとすれば皮肉なものです。今なおバリバリのアイドルとして歌い踊っている岡田くんに敵う人なんて、そう簡単に出てくるはずがありません。ならば早いところ所帯を持って『イイ役者』に転じ、『A−Studio』で鶴瓶師匠に煽ってもらう方が得策。結果、小栗旬も松山ケンイチも、そして唄わない(唄わなくてもいい)ジャニーズ・生田斗真まで、やたら居心地良さそうにバラエティに出てはニコニコしています。今からでも遅くない。歌えなかったラヴ・ソングを歌おう♪(by 織田裕二)

※週刊朝日  2017年5月19日号