今シーズン終了後、メジャーリーグへの移籍が噂されている、日本ハムの大谷翔平(22)。“二刀流”の移籍に関して
大きな進展があったのは、GW期間中のことだった。米大リーグ機構(MLB)が、トランプ米大統領流の高圧的な手法で、
日本野球機構(NPB)にポスティングシステムの改正を申し入れたからだ。

 「2000万ドル(22.5億円)を上限とする現ポスティングシステムは、ヤンキースの田中将大がメジャー移籍する直前の
'13年12月に締結されました。期限は昨年10月31日までの3年。その後、日米ともに期日までに再交渉を希望しな
かったことから、1年間自動的に延長されていました。この状態が続けば、今オフの大谷のメジャー移籍も、田中や
前田健太(ドジャース)同様に20億円の譲渡金でMLB球団に移籍する運びでしたが、MLBは5月4日、ポスティング
システムの改正を申し入れてきたのです」(スポーツ紙記者)

 日米選手協定には、毎年10月31日の180日前となる5月4日(米国時間5日)までに、MLBまたはNPBが改正を
希望すれば、両国が協議を開始すると明記されている。5月4日は今オフのポスティングシステム変更の最終期限日だった。

 今後は、NPBがこの変更案を協議することになるが、MLBはアメとムチを用意し、NPBを大きく揺さぶっているというのだ。
 「アメ」は移籍金。MLB側は日本人選手の移籍に際して、20億円もの移籍金を支払うことを不満とし、NPB側に廃止
を求めていた。ところが、今回はその要望を引っ込め、これまで通り最大20億円の支払いに同意したという。

 「ムチ」は、大谷自身に入る契約金。MLBは大リーグ選手会との新労使協定で、外国人選手の契約金が制限される
年齢を「23歳未満」から「25歳未満」に引き上げた。これにより22歳の大谷は、米球界入りしても、25歳になるまで原則
として最低年俸保障の54万5000ドル(約6100万円)に据え置かれる。

 一方、日本ハムはNPBが新たなポスティングシステムを受け入れれば、大谷の譲渡で20億円が手に入る。逆に、NPB
がこの案を拒めば、大谷と引き続き契約できるが、この先、20億円は入らない。改正案を拒否すると、日本人選手の
メジャー移籍は「海外FA資格取得者」に限られ、譲渡金は発生しなくなるからだ。

 「NPB内では、賛否両論が渦巻き、大混乱の状態です。この申し出を拒めば、この先、選手たちは一軍で9年間活躍
しなければMLBに行けず、海外を目指す若手選手の士気は大きく後退します。2020年の東京五輪に向けた野球人気
の妨げにもなることを恐れているのです」(同)

 そのせいか、これまで大谷のメジャー転身に懐疑的だった各球団首脳の間でも、「日本プロ野球のため、犠牲になって
もらうしかない」との声が強まっているという。

http://npn.co.jp/article/detail/95401664/