【No Ball,No Life】

 9日に行われた国際サッカー連盟(FIFA)の理事会で、出場チームが現行の32から48へと拡大する2026年W杯の大陸別出場枠が決定した。アジアにはストレートイン枠8に加え、プレーオフ出場枠が1つ割り当てられ、最大で9チームの出場が可能となり、現状の4・5から倍増となった。

 日本は初出場だった1998年フランス大会以降、5大会連続でW杯本大会に出場しており、2018年ロシア大会の切符獲得も目前だ。すでにアジアで強豪の地位を築いた日本にとって、最大9にまで本戦出場枠が増えたアジア予選は“ぬるま湯”にも思えるが、予選開催方式次第でアジア予選の難しさは現状維持となる可能性もある。

 真っ先に考えられる不安要素は、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で採用されている東西分割案だ。決勝以外は東と西のクラブが対戦しないACL方式では、アウェー戦での移動距離が短くなり、選手の負担が軽減されるという利点がある。だが東西にそれぞれ4枠と割り振られた場合、日本は韓国、豪州、北朝鮮、中国といったW杯出場経験国に加え、タイのように今後のレベルアップが予想される東南アジア勢との戦いで4位以上をキープし続けなければならなくなる。

 日本協会の田嶋幸三会長も「そうすると本当に強い8チームが(本大会に)行くのか分からない」と安易な東西分割開催にはNOを突きつける方針だという。

 共催が認められやすくなったことも、不安材料となり得る。東南アジア4カ国共催で行われた2007年アジア杯は開催国枠が4となったため、本来なら前回大会王者として予選免除となるはずの日本が予選出場を強いられたケースがあった。

 韓国協会の鄭夢奎会長は2030年大会を日本、中国、韓国、北朝鮮の4カ国で共催しようというプランを勝手にぶち上げているという。さすがにこれが実現する可能性はかなり低いと思うが、本当に4カ国で共催したら、豪州あたりは予選で苦しむはずだ。勝手に共催仲間に組み込まれるのも迷惑な話だが、日本を含まない形でアジアで共催されると、予選は一気に厳しくなる。

 日本としてはFIFAランキング上位国はシード権を得て、最終予選のみの出場という形が理想だ。現行では日本はアジア予選を最低でも18試合も戦わなければならないが、予選期間が短くなれば欧州、南米勢との親善試合を増やせる。強豪との親善試合は強化だけでなく、日本協会の収入にも大きな影響を及ぼす。

 予選開催方式で外堀を埋められ、鄭夢奎会長の共催プランに乗らざるを得ないというのが一番怖い。“絶対に負けられない戦い”は、予選そのものではなく、開催方式を巡る外交だ。(清水公和)

サンケイスポーツ 5/18(木) 15:00配信
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