サッカーの女子日本代表「なでしこジャパン」の新星は、慶大生で帰国子女−。今年3月のアルガルベ・カップ(ポルトガル)で、代表デビューを飾ったFW籾木結花(21)=日テレ=は米国ニューヨーク生まれで、ミドルネームは「ニコル」。誕生日だった4月9日のコスタリカ戦(えがお健康スタジアム)で代表初得点を決めた「籾木ニコル結花」を直撃した。 (占部哲也)

 −あらためて代表初ゴール、おめでとうございます

 「うれしいのもありますが、ホッとした部分が大きいです。チームに戻って『(誕生日弾で)持ってるね』と言われました(笑)。5試合目かな。誕生日どうのこうのではなく、代表で生き残るために結果がほしかった。そういうところでホッとしています」

 −試合後のミックスゾーンでリュックの肩ベルトにニコちゃんマークを描いていたけど…

 「リュックがみんな同じなので(区別するために)、テーピングに名前を書いて貼っている。ニコルって書いて、ニコちゃんマークも書きました」

 −それは…ニコルだからニコニコのニコちゃんマーク?

 「いや…違います。元から好きで…」

 −おやじギャグですみません…

 「ハハハッ」

 −ニューヨーク出身で3歳まで過ごしたとか。ミドルネームの「ニコル」はお気に入りなのですか

 「お気に入りですね。サインもニコルです。10番の0の中に、ニコちゃんマークを入れています。商社に勤めている父(直人さん)が、仕事でお世話になっていた女性に、『ニコル』がいいのでは、と勧められたと聞いています」

 −では英語も堪能ですか?

 「それが…あまりしゃべられないんです。何となく言っていることは分かるのですが」

 −でも、代表遠征で頼られることもあるのでは

 「多々あります(苦笑)。でも、そんなに使えないよって」

 −じゃ、ここで声を大にして言いましょうよ

 「そうですね(笑)。遠征の時は現地コーディネーターの人がチームに付くのですが、大会期間中お世話になった時に、代表してお礼の言葉を英語で言う役割が多いです。『いろいろ助けてくださってありがとうございました』とか『一緒にいて楽しかったです』とか。練習して言います」

 −座右の銘が「Practice makes perfect」になっていますが

 「英語だと解釈が自由にできるかなと思って。最初は『練習はうそをつかない』と思っていたけど、最近は練習は意識的にやり、一生懸命やらないと意味がないと捉えています。そういう練習じゃないとパーフェクトには持っていけないので」

 −なるほど。深いですね。大学ではどのような勉強をしているのですか

 「語学の授業を意識的に取っています。英語とドイツ語とスペイン語を。と言っても、しゃべられるわけではないんですけどね。今はスペイン語を極めてみようかなと思ってます。ゼミでは、スポーツビジネスを勉強しています。地域と大学を結び付けるためのスポーツ教室などを計画しています」

 −まさに、大学生ですね。でも、二足のわらじは大変では

 「大学に行きながらトップリーグで活躍するのは、なでしこリーグならではだと思います。正直、きついですけど、それは今の自分にしかできないと。あえて厳しい環境に身を置いてみようと思っています」

 −総合政策学部は湘南藤沢キャンパスですが、三田キャンパスには行くのですか

 「この前、健康診断を三田でやったのですが…。居づらさを感じました。みんな、おしゃれで。湘南藤沢では駅から自転車に乗るので、スポーツ系の動きやすい格好をしているけど、三田は違って。入れないって感じがしました(笑)」

 −2020年東京五輪では24歳。その前に来年はワールドカップ(W杯)予選、再来年はW杯本大会。大学生活もありますが、サッカー人生をどのように描いていますか

 「4年生のはじめまでには単位を取得しようと思っています。サッカーでは個の力を上げたい。日本は組織的な攻撃や守備を得意として、結果を残してきました。ただ、それも研究され、勝てなくなってきています。組織力も上げないといけないけど、そこが通用しない時に個の力を持っていればチームのレベルも上がる。3月のアルガルベ杯では、1人で抜いてシュートを打てなかった。まだまだですね」

 −個の力をどうつけますか?

 「練習のゲームで、ちょっとした場面でも仕掛ける。トライする。ゲームの中でトライすることですね」