【水原(韓国)17日=岡崎悠利】サッカーU−20(20歳以下)W杯韓国大会(20日開幕)に出場する日本代表のFW久保建英(15=FC東京ユース)が日本での進化を世界に見せる。今大会には韓国代表FWイ・スンウら久保が在籍していたバルセロナ所属の選手が代表入りしている。久保は外国人選手登録違反の影響で退団したが、帰国が間違っていなかったことを勝利で証明する。チームは決戦の舞台となる韓国に入り、現地の日本人学校を訪問後、練習した。

 久保が強敵集う韓国に足を踏み入れた。初戦まで残り3日。「日にちが近づくにつれて気持ちは高まっている」。15歳の言葉には力がこもった。1次リーグ第1、2戦が行われる水原近郊での初練習。約1時間、時折笑顔を見せるなど、リラックスした表情でランニングなど軽めのメニューをこなした。

 わずか10歳でバルセロナ下部組織の入団テストに合格した逸材は、クラブの外国人登録違反により試合出場がかなわなくなり、帰国した。「最初は、なんで戻らなきゃいけないんだろうという気持ちはあった」。15年5月の東京の下部組織への加入は、想像していなかった道でもあった。

 開催国の韓国には、久保と同じタイミングでチーム残留を選んだ3歳上の“韓国のメッシ”ことFWイ・スンウ、MFペク・スンホら2人のバルセロナ所属選手がいる。残った者と離れた者。立場は変わった。

 帰国から約2年。久保の瞳には自信が宿っている。日本に戻り「自分がイメージしていたより2倍も3倍も速く成長できている」。世代ごとにカテゴリーが分かれる日本のクラブで、J1、J3、ユースと多くの舞台を踏んだ。「めまぐるしく環境が変わる」と語るように、ときにはトップチームの選手と体をぶつけ合い、少ない連係練習で試合に臨んだ。自分にしかできない経験を積めた。だからこそ胸を張れる。「日本に帰ってきてよかった」。

 1次リーグで同組のウルグアイにも1人、バルセロナ所属がいる。今大会は日本での成長を見せつける、またとない機会になる。「相手がどこでも、悪いパフォーマンスは許されないと思う。全力で出る準備をしています」。15歳は静かに闘志を燃やした。

 ◆久保のバルセロナ退団の経緯 国際サッカー連盟(FIFA)は14年4月、バルセロナが18歳未満の外国人選手獲得・登録違反をしていると指摘。違反に該当するとみなされた9選手は、公式戦に出場できなくなった。そのうちの1人が久保で「18歳になる19年まで公式戦の出場が認められない」とスペインで報じられ、解決の糸口が見つからないことから、帰国を決断。15年5月に東京の下部組織U−15むさしに加入した。

日刊スポーツ 5/18(木) 8:01配信
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