同課によると、吉田容疑者は調べに「痛い思いをさせれば、女性がバス停からいなくなると思った」と供述しているという。「よく深夜に散歩をしており、バス停付近で女性を何度か見掛けていた」とも話しており、同課は女性と何らかのトラブルになった可能性があるとみている。

「よく深夜に散歩をしており、バス停付近で女性を何度か見掛けていた」職業不詳吉田和人容疑者(46)

 捜査関係者によると、亡くなった大林さんは広島県出身で、約3年前まで杉並区のアパートに居住。今年2月ごろまで同区のスーパーで働いていたが、春ごろから現場のバス停で寝泊まりしていたとみられる。

 所持品だったカードには自身の会員制交流サイト(SNS)のアカウントや親戚の連絡先などが書かれており、捜査関係者は「路上生活という苦しい境遇になっても、社会とつながっていたかったのではないか」と話す。

 近隣住民らによると、吉田容疑者は自宅マンションの1階店舗で母親と酒店を営んでいた。母親と2人暮らしで、父親が約3年前に他界後は二人三脚で店を支えていたが、近所トラブルを起こす一面もあったという。

 取引のある居酒屋の男性従業員(57)は「事件当日も普段と変わらず酒を運んでくれたので、信じられない」と驚く。吉田容疑者は母親と地域清掃のボランティアに励む真面目な性格だったという。幼い頃から家族ぐるみで付き合いがあった女性(73)も「優しい子だった。別の就職先でうまくいかず、店を手伝うようになった」と語る。

 その一方で、男性従業員は「(吉田容疑者の)お父さんは生前、息子が引きこもりがちだと心配していた」とも明かす。

 近所の男性(36)は「神経質そうな感じで、たびたび苦情を言われてクレーマーのようだった」。男性が引っ越してきた1年半前、吉田容疑者が男性宅を訪れ、「自宅のバルコニーから見える世界が自分の全て。景色を変えたくない」と、アンテナの設置位置を変えるよう強く求められたなどトラブルが絶えなかったという。